時計は、バンコクの時間に合わせていた。
後ろの席に移動していたコータに、時計と、時間が違うと、言うと、台北に緊急着陸したからだよ・・・
えっ、緊急着陸・・・
そういえば、台北に何とか、こんとかという言葉が聞えていたような・・・
私は、眠っていたのである。
緊急着陸の時間帯は、私は、眠って、その事態を知らない。
急病人がいたということは、アナウンスで聞いていた。
医者、医療関係の方は、おりませんか・・・
そして、意識が切れた。
結局、予定時間の、二時間遅れで、バンコクに到着する。
午前二時である。
であるから、タクシーに乗り、マンション・アパートに着いたのが、四時近く。
深夜であるから、入国の係員が少なく、とても長い間、待ったのである。
そして、予約していた、マンション・アパートは、誰もしない。
つまり、泊まれない状態。
タクシーの運転手が、部屋に入るまで、様子を見てくれたので、助かる。
その辺りは、タクシーなど走らない場所。
もう一度、タクシーに乗り込み、近くのマンション・アパートを探すが、見つかっても、門が閉まっている。
もう、駄目だ。
タクシー運転手に、近くにホテルは、無いかと、尋ねる。
無い・・・ナナなら、知っている・・・
ナナなら、私たちも、知っている。
ナナハウス・・・
しかし、今回は、違った。
朝の四時である。
疲れが限界に達して、ナナのゲストハウスに泊まる勇気が無い。
連れ込みのホテルとしても、利用されているので、部屋が無い場合もある。
そこで、初めて、ホテルに泊まることに。
日本人には、有名な中流以下のホテル。
それでも、一泊、1490バーツである。
そんな高いホテルに泊まることは無い。
兎に角、疲れた。
ホテルには、部屋があった。
チェックインする。
ある程度の、備品が揃い、矢張りホテルである。
部屋も広め。
シャワーを浴びて、すぐに寝る。
朝、四時なのであるから、八日になっているが、料金は、七日分で、12時チェックアウトである。
二泊する予定だったので、移るのは、面倒だと、二泊することにした。
目覚めたのは、七時で、日本時間の、九時である。
年を取ると、長く寝ていられない・・・
楽しみは、ホテルの朝食バイキング。
無料でついている。
朝昼と、二食分食べるつもりである。
その辺りは、歓楽街の真ん中であり、夜中でも、屋台、物売りが多い。
朝まで、食べ物に不自由しない場所。
八時になり、一階のレストランに行く。
驚いた。
とても、豪華なバイキングである。
これなら、たっぷり、二食分は、食べられると、貧乏根性である。
しかし、焦らない。焦ると、食べられないのである。
ゆっくり・・・ゆっくり・・・
意外に、欧米人が多い。
日本人が多く泊まるホテルと、聞いていた。
このホテルに泊まり、近くの、ゴーゴーバーに出で、女を買うという。
どんな、不細工な男でも、金を出せば、美しい女を買えるという、僥倖は、ここにしかない。いや、貧しいアジアの国々は、である。
こんな下品なことを、何故書くか・・・
日本も、昔は、そうだった。
女の股が、外貨を稼いだ。
それは、日本に限らない。
どこの国も、女の股から、経済が始まった。
どこぞの、アホの分析より、正しい。
日本は、アジアの奇跡と言われた。
違う。
たまたま、女の股が稼ぎ、朝鮮戦争が始まったからである。
戦争と、セックスが、金をもたらす。
それが、常識である。
マルチ商法でも、アフリエイトでも、投資でもない。
一番、金になるのは、戦争なのである。
アメリカが、戦争を止めないはずである。
さて、私は、満腹である。
それで、最後に、パインジュースを飲む。
子どもの頃、パインが食べられるのが、憧れだった。
バナナも・・・
でも、いつしか、バナナは、格安で、パインも、格安で、買えるようになる。
バナナは、フィリピンで、日本の指導で作っている。
安い労働力を使い、安いバナナを作る。
西欧が罪深い行為をして、次にアメリカ、そして、日本が、罪深い行為をして、豊になった。
経済愛好家は、それを、罪深いとは、言わない。
方法論という。
人間とは、実に理屈を作り出すものである。
分析を得意とする、学者は、今に、皆殺しに遭う。
日本は、少し真っ当になったことが、幸いである。
一時期、日本のペットフードの会社が、ベトナムの海岸地帯の、小魚を買い占めた。それは、現地の人たちの、食べ物だった。
買占めで、ベトナムの漁村の人たちが、食べ物に困窮した。
日本が、豊かに走り出した時代・・・
豊・・・つまり、金である。
金があることが、豊だと、言い出した時代・・・
そして、遂に、金で買えないものは無いという、馬鹿まで、生んだ。
金で、買えないものの、多くを知る私は、ただ、呆然とするだけ。
命を、一秒たりとも、延ばせない。
しかし、金で、命も、買えると、思わせて、撹乱させた。
主イエスが、髪の毛でさえ、あなたたちは、一センチも伸ばすことが出来ないと、言う。
殺されるはずである。
当時も、金の世界だった。
私のように、金が全く無くなり、もう、駄目だという者が、最後に、大切なものが、いのち、だと知る。
そして、人は、人のために生きることで、救われると、知る。
屑のような、人間が、最低救われるとしたら、人のために、何か出来ることを、することである。
人間の欲望を、極め尽くしてみると、残るは、食欲である。
食べなければ、死ぬ。
その、食べ物が無い人たちが、世界に、十億、二十億、三十億・・・いる。
日本の少子化は、正解である。
そして、高齢者が、早く死ぬことである。
長く生きても、詮無いこと。
生きる事が、無駄なのである。
どうしても、生きてくださいという人は、数名程度。
私も、早々に死ぬ。