2016年06月24日

玉砕133

トルーマン米大統領が、原爆実験成功の知らせを聞いたのは、「ポツダム会談」に臨むため、ベルリンの郊外、ポツダムに赴いたときのことである。

トルーマン、チャーチル、スターリンの連合国の三名が臨んだ、ポツダム会談の表向きの議題は、ヨーロッパの戦後処理だった。
当初は、日本に関する相談は、付けたしの域を出ないものだ。

降伏を促す、対日最後通告は、米国の要請により、副次的に出されたものというのが、事実である。

トルーマンの負っていた役割は、スターリンから、期限を切ったソ連対日参戦の確約を取り付けること、そして、ドイツ降伏後、ヨーロッパに対する、露骨な野望を見せる、スターリンと、チャーチルの間に立ち、仲介の役割を演じることである。

だが、原爆の出現により、三者三様の思惑の、バランスが一気に崩れるのである。

トルーマンが、ポツダムに着いた翌日、本国から、原爆実験成功の知らせを受けた。日本を早期に降伏させるために、ソ連の助けを借りるという最初の目的は、大きく揺らぐ。

ソ連に借りを作ることなく、米国単独の力で、日本の息の根を止めることが出来れば、それに越したことは無いのである。
更に、原爆の力を、実際に見ることが出来る。

更に、原爆実験成功の報は、スターリンをも、動かせた。
一刻も早く、対日参戦して、戦争終結後の権利を獲得しなければと、焦ったのである。

これが、後にも続く、冷戦のはじまりである。

つまり、ポツダム宣言は、米英、中国の対日最後通告とは、上記のような慌しさの中で、米国のスケジュールに沿って、提出されたものだ。

ベルリン時間、7月26日、21時30分、トルーマンは、戦時情報局に命じて、ただちにこの内容を、あらゆる手段を尽くし、日本国民に周知させよと、指令した。

まず反応したのは、日本の外務省である。
この「宣言」が、終戦の糸口となることを、読んだものの、天皇制について、具体的に触れられていないのが、廃止するという明確な字句が見当たらないことに、外務省は、光明を見た。

領土問題は、台湾、朝鮮は、当然捨てなければならないと覚悟した。
戦争責任者の処罰は、これも、致し方ないことであった。

政府と、軍は、それが持つ、重大な意味を、すぐに読み取ることが出来なかった。
閣僚の中でも、その重要性を認識したのは、東郷外相であるが、その段階でも、ソ連の仲介を充てにしていたのである。

以下、ポツダム宣言の主たるものを、上げる。
日本軍の武装解除
日本の軍国主義的権威と勢力の抹殺
民主政治の確立
民主的平和的責任政府の樹立まで連合国軍による保障占領
日本領土を四島とその付属諸島に制限
戦争犯罪人の処罰
等が、要旨だった。

三国側は、日本の対応に注視していた。
だが、鈴木首相は、
あの宣言に重大な価値があるとは思わない。政府は黙殺するだけであり、あくまで戦争完遂につとめる
と、記者会見で、述べたのである。

強気の発言をしなければならない、当時の状況であった。

つまり、受諾に向けて努力する決意を固めていたが、軍部の突き上げにより、表面上は、強気の発言となったのである。

だが、この発言が、全世界に伝わった。
更に、黙殺が、無視と訳されて、放送されたのだ。

つまり、連合国側には、拒否すると受け取られたのである。

その首相発言に、驚愕し、立腹しながらも、東郷外相は、原爆を落とされるまで、実りなきソ連との交渉に、躍起となっていた。

中ソ大使佐藤に対して、督促電報を連打している。
その佐藤大使は、現地にあって、外交官として、冷徹な目で、現実を認識していた。

7月30日、佐藤大使の東郷に対する返電中に、
ソ連がいまさら何を好んで日本の肩を持つ必要があろうか。この点あなたのご観察と当方の実際は、はなはだしく食い違っていると考える
という、一節がある。

更に、佐藤が、8月5日、東京着で、
一日も早く日本の平和提唱の決意を通達すれば、さらに条件は緩和される可能性もある。だが、いかに緩和されても、ドイツの例にみるように戦争責任者の処罰はまぬがれぬ。戦争責任者が真に憂国の士ならば、従容として犠牲となるのもやむをえまい
と、打電してきた。

そして、翌日、6日、広島に原爆が投下された。

続いて、佐藤は、8月8日、クレムリンに呼ばれて、モロシフ外相から、8月9日を期して、日本と戦争状態に入ることを宣言する、との通告を受けた。
この現地時間は、日本時間にして、9日午前零時であり、ソ連軍が、旧満州に、なだれ込んだ時間でもある。

その同日、二発目の原爆が、長崎に落とされた。

ソ連の行為は、実に、忘れられないものである。
その軍事行動は、実に、卑劣に満ちたものである。

戦後の権益を保持するために・・・

posted by 天山 at 05:12| 玉砕3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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