2015年12月04日

玉砕88

ルソン島、リンガエン湾で、特攻攻撃の猛威にさらされた、米海軍第七艦隊の、オルデンドロフ中将は、同艦隊司令長官、キンケイド大将に、緊急電報を打っている。

航空兵力の増強を考慮されたし。本件は緊急にして、かつ致命的である。わが護衛空母は対空支援には不適当であった。日本の自殺機はレーダーの使用困難のため、大した妨害を受けることなく攻撃可能のように見えた。・・・
さらに敵飛行機はリンガエン湾付近の小飛行場にいたるまで、常時爆撃して制圧するの要有りと認める。敵の攻撃は朝および夕刻においてさかんであり、とくに午後六時前後において最高潮に達したり。もしさらに損害が加わるならば、今後の作戦に影響するところ極めて大であり、かつ不幸な結果を招来する恐れなしとしない。なおわが損害がさらに甚大とならば、わが指揮下において、準備不十分のまま、日本水上艦艇の攻撃を招来する恐れもなしとしない。敵自殺機はやがて到着するわが輸送船団を攻撃するであろう。その結果は想うだに寒心の至りである。第五航空軍にこの緊張滋養今日を通報し、航空支援の必要を要請されたし。また第三艦隊に当地区にただちに航空兵力を増加し、対空防御を強化するよう請求されんことを乞う。緊急なる現状に鑑み、現作戦方針に対し再考をお願いする。

この時、リンガエン湾では、25時間内に、艦艇21隻が、特攻機に撃沈されていたのである。

前代未聞の、攻撃方法、特攻隊であった。

沖縄戦を取材した、米従軍記者、ハンソン・ポールドウィンは、特攻機に襲われた、米艦の悲痛な状況を報告する。

悪天候が時々休息を与えてくれる以外には、自殺機が連日襲ってくるために、過去40日間は、将兵は休む暇がなかった。眠るといっても、それは夢まぼろしの状態で身体を横にするに過ぎない。照準器の上に頭を垂れて、がっくりと寄りかかっている将兵が甲板のいたるところに見られる。そして艦長たちの目は真っ赤で、頬はこけ、命令はとげとげしくなっている。

敵の暗号を解読して、敵の攻撃があることが前夜に拡声器で予報されるのを聞くと、兵員たちの中にはかんしゃくを起こして、「もう止めてくれ」と怒鳴るものすらある。全員がまさしくヒステリーになりつつある。

特攻の度重なる猛撃のために、精神に異常をきたした米兵も多い。

米ジャーナリスト、A・パーカーは、語る。

西欧人の目には、天皇と国家にために、よろこんで自己の生命を捧げるように、国民を慎重な考慮の末に利用した軍部の指揮は最も卑しむべき野蛮な行為であったと映っている。しかし、連合国軍は、神風特別攻撃隊たちを尊敬している。それはおそらく彼らが特別攻撃で手痛い打撃を受けたためであろう。

作戦に対しては、批判し、非難しても、特攻隊員には、批判も非難もない。
また、誰も、彼らを、裁くことは出来ない。

国の防衛のために、命を賭けるからである。
愛国心の発露として、最大の行為である。

私も、特攻作戦には、是非もなしとは、言わない。
だが、特攻隊員を誇りに思う。
美化するのではない。

命を捨てる以上の、大いなる愛の行為はないのである。

私は、特攻隊は、ある程度の強制があったのかと、思い、調べだか・・・
全く、予想に反していた。

第一航空艦隊による、最初の神風特攻が成功した。
その後、大西中将は、第二航空艦隊司令長官、福留中将に、二航艦も至急に、特攻隊を編成すべきだと、進言した。

しかし、福留は、十死零生の特攻に疑問を抱いていた。
当然である。
死に行くのである。
確実に、死ぬ行為を、容認できる人は、いないだろう。

だが、二航艦所属の、若きパイロットたちは、特攻を熱望したのである。

福留に、部下の隊員に、自殺攻撃を命令する、決心をつけさせたのは、彼の部下のパイロットたちなのである。

志願した、特攻隊員である。

これには、長い説明が必要だ。
更に・・・

志願した、若い兵士たちは、一時の熱狂や、興奮に駆られたのではない。
事実は、その逆で、冷静に考え抜き、効果的にじっくりと、見極めをつけた結果の行動だった。
その、部下たちの、冷静で、恐ろしい覚悟が、福留を動かした。

私は、文を書き続けて、40年以上を経た。
少しは、文を読むという行為も、出来るだろう。
そして、その良し悪しなども・・・

特攻隊員の、その遺書、書き物を読んで、自然に涙が出るのである。

こんな、私にでも、その文が、理解出来るのだ。
文の良し悪しではない。
書いている内容である。

今、死を目の前にして、少年といってもいい、青年といってもいい、年齢の若者たちの文が、心に染みるのである。

それも、紹介するが・・・

先に紹介した、フランス人ジャーナリストの、ベルナール・ミロの記した「神風」から、引用して、冷静に、彼らを見つめたいと、思う。

日本の自殺攻撃の本質的な特徴は、単に多数の敵を自分同様の死にひきずりこもうとして、生きた人間が一種の人間爆弾と化して敵にとびかかるという、その行為にあるのではない。その真の特徴は、この行動を成就するために、決行に先んじて数日前、ときとしては数週間前、数ヶ月も前からあらかじめその決心がなされていたという点にある。
ベルナール

誰でも、死ぬ日を知れば、その精神に変化が生ずるだろう。
並大抵の精神ではない。
覚悟という、強靭な精神力・・・

それは、年齢に関わりなくである。
ガンと告知されただけで、狼狽する人も入るだろう。

だが、私は、彼らが若いということに、注目した。
それは、純粋で有り得るということである。

この、純粋という精神が、どのように冷静に、特攻を願い出るのか、である。







posted by 天山 at 07:38| 玉砕3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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