2015年06月16日

玉砕38

第三次ソロモン海戦について・・・
アメリカ側の資料を見る。

米第一海兵師団戦闘記録
激戦の夜が明けると、昨日のわが猛撃で難をまぬがれた生き残りの四隻の輸送船が、タサファロング沖に達し、そのうちの三席は陸岸に乗り上げて物資を揚陸中であるのが見られた。
直ちに爆撃を加え、間もなく四隻とも火炎につつまれた。のみならず、翌陸点付近にも火災が起こった。彼らがありとあらゆる困難を冒して、やっと目的地に揚陸したわずかばかりの物資すら、飢えた将兵の手の届く寸前において、かくして破壊され、焼き尽くされた。
この三日間にわたる一連の海戦は、ガ島戦―ひいては太平洋戦争全般のー帰還を決定するものであった。

つまり、ガ島の日本軍将兵たちに、本格的な飢えが迫ったということだ。

概略を書く。
食べられるものは、何でも食べた、と言う。
オオトカゲ、毒蛇、野草・・・

兵士たちの証言に驚いた。

そんなある時、米兵三名を射殺したという報告が入った。
中隊長の軍刀を借り受け、天幕を持って、敵死体位置に駆け寄っている。
生きている脚は切りやすいが、死んで倒れている脚は切りにくかった。
「ニワトリと同じ」で、黄色い脂肪が巻いて、剣先をにぶらせるのだ。
「苦労の末」に、一人分の両脚を切り落とした。
天幕を広げて、その脚を包んで持ち帰った。
ほかの隊にも「お裾分け」して食べた。
水炊きで、ゆがくだけ。調味料はなかった。

草の芽、木の芽、木の葉、手の届く限り、口の入るものはまったくなくなっている。小隊の兵員も半分になっている。
みな、餓死である。

死んだら骨を頼むぞと、軍歌演習で歌ったが、おれが死んだら食べてくれとは、なんと情けない話しだ。

陸軍兵は、米兵の肉を食べている。
そして、自分の死体も、蛆虫に食われるよりマシだ、と、全員で固く誓い合っていた。

人間誰しも、長く食糧皆無が続くと、餓死するか、野獣に成り下がるのだ。

生き残りで、クジを作った。
三名の死体を、苦労しつつ、二時間がかりで壕に運び入れた。
後の始末は、別のクジに当った戦友が、手際よく処理した。
米兵の軍服と骨は、米兵がよくやってくる、土人道に持って行き、
攻撃してくれば、こうなるぞと、ばら撒いた。

生き残りの証言である。

現実である。

近づいて来る死と影がある。
その人影は、両手に杖をついて、もの憂いげに歩いてくる。その姿を見て驚いた。
頭髪もヒゲも伸び放題。栄養失調のため、全身がむくみを帯びて青ざめている。着の身着のままのシャツは泥で真っ黒、左右の破れ端を引き合わせて結んでいる。
ズボンの汚れはさらにひどく、破れるままにまかせて、ワカメを吊るしたようだ。泥まみれの靴は、縫い目が破れて、足指がのぞいている。

背中には背負い袋、これに飯盒と抜き身だけの赤くサビた帯剣をゆわえつけている。

まるで、仏画に見る幽鬼そのものである。内地の乞食でも、もう少しましな格好をしている。これが、苦戦を続けたガ島・皇軍の姿であった。

三人の兵は、こもごも語り始めた。
自分たちは、食糧運搬のため第一線から来ました。
・ ・その体で、食糧運搬・・

はい、これでも自分たちは、第一線では、比較的元気な方であります。
第一線では、栄養失調とマラリアにかかり、あるいは、赤痢、腸チフスにかかり、タレ流しで歩けない者が大勢おります。
それでも、散兵壕の中で、がんばっていて、敵が来れば、這い出して、防いでおります。

毎日、幾人か死んでいきますが、埋葬することができません。
この体力では、わずかな食糧しか持てません。自分たちの往復の食糧を引くと、ほんのわずかしか前線に置いてこられませんが、毎日、こうして運んでおります。

運ぶ途中で、動けなくなって死ぬ者、機銃掃射や爆撃、あるいは砲撃を受けて死ぬ者がたくさんいます。前線までの道端に数限りなく死んでいますが、埋葬できる人がいませんから、みな、そのままになっています。

更に、別の報告である。

進むにつれて、凄惨な戦場の形相が繰り広げられていた。
ぼろぼろに痩せ細った幽鬼の如き友軍兵士。
路傍に放置され、眼窩のみが空を向いている死臭ぷんぶんたる亡骸。
ほとんど白骨化した死体。
負傷して歩けず、弱々しい声で、水を求めている戦友。
川辺にとくに遺体が多かったのは、水を求めてのことだろう。

これ以上は、省略する。

戦争の無い時代に生まれた私。
戦争を知らないのである。

しかし・・・
このような証言を読む時、この世の無情を感じる。
それどころか、生きる意味さえ、見出すことが、出来なくなる思いになる。

人間とは・・・
生き残りの兵士たちが、口を閉ざす理由が分る。
戦死ではなく、餓死だというならば・・・

これは、ガダルカナル戦の有様、形相である。
これが、フィリピン、ビルマ、その他の地域でも、展開されるのだ。

自決というものもある。
更に、精神の狂い。
心から、哀悼の思いと、祈りを捧げる。









posted by 天山 at 06:04| 玉砕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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