2014年05月10日

国を愛して何が悪い129

第十六章は、武士道はなお生くるか、である。

一国民の魂がかくのごとく早く死滅しうるものとせば、それは悲しむべきことである。外来の影響にかくもたやすく屈服するは貧弱なる魂である。
新渡戸

これは、明治期から、西欧を手本として、様々なものを、取り入れてきた日本の精神に対する言葉である。

日本は、近代国家になるべく、西欧を見本、手本として、多くを学んだ。
兎に角、目一杯に進んだのである。

そして、その取り入れたものを、即座に我が国のものとすべく、精進した。
それ故、日本は、アジアの中で、唯一、近代国家の仲間入りを果たした。
それは、驚くべきことである。

だが、日本人の精神、そして、武士道は、失われなかった。
明治期の人々を見れば、一目瞭然である。

ただ、知識人の中には、愚かなる人々もいた。
日本蔑視、西欧礼賛である。

敗戦後も、日本蔑視、アメリカ礼賛があったが・・・

国民性を構成する心理的要素の合成体が粘着性を有することは、「魚のヒレ、鳥のクチバシ、肉食動物のハ等、その種族の除くべからざる要素」のごとくである。
新渡戸

「知識に基づく発見は人類共通の遺産であるが、性格の長所短所は各国民の専有的遺産である。それは堅き巌のごとく、数世紀にわたり日夜水がこれを洗うても、わずかに外側の圭角を除去しうるに過ぎない」
ル・ボン

武士道の浸潤せしめたる種々の徳を研究するに際し、吾人はヨーロッパの典拠より比較と例証を引用したが、その一の特性も武士道の専有的遺産と呼ばるべきものなきを見たのである。道徳的諸特性の合成体が全然特殊なる一形相を呈することは真である。
新渡戸

要するに、ヨーロッパには、武士道の精神が見つからないというのである。
これは、日本の風土が生み育てた精神である。

それほど、稀な精神的、土壌を有するのである。

私は、それを宗教的感覚だと、言う。
西欧には、育たない、情緒とも、言う。

武士道が我が国民特に武士の上に刻印したる性格は、「種族の除くべからざる要素」を成すとは言いえないが、その保有する活力については疑いを存しない。仮に武士道が単なる物理力であるとしても、過去七百年にその獲得したる運動量はそんなに急に停止するをえない。
新渡戸

現在、日本の伝統芸といわれる諸々は、鎌倉、室町、そして江戸時代からのものである。
しかし、それ以前の、準備期間があった。
自然発生的に成ったと思えるものも、それ以前の、文化的要素により、成り立っている。
つまり、断絶してあるのではない。

武士道も然りである。
徐々に、変容してゆくが、精神とは、時代性、時代精神に合わせてゆくものだからだ。

武士道は一の無意識的なるかつ抵抗し難き力として、国民および個人を動かしてきた。新日本の最も輝かしき先駆者の一人たる吉田松陰が刑の前夜詠じたる次の歌は、日本民族の偽らざる告白であったーーー

かくすれば かくなるものと 知りながら
やむにやまれぬ 大和魂

形式をこそ備えざれ、武士道は我が国の活動精神、運動力であっしたし、また現にそうである。
新渡戸

やむにやまれぬ大和魂・・・
これが、日本人の心に、日本人としての、灯を点けるのである。

そして、その説明は、行為によってのみ、表現されるのであり、理屈ではない。
元々、日本には、言挙げせず、という精神があった。
言葉にせずに、行為するというものである。

言葉にするものは、そのまま成るという、思想である。
言霊信仰と言う人もいるが・・・

「今日三つの別々の日本が相並んで存在している、―――旧日本はいまだまったく死滅せず、新日本は漸く精神において誕生したるに過ぎず、しかして過渡的日本は現在その最も危機的なる苦悶を経過しつつある」
ラムサン

上記の言葉に対して、新渡戸は、有形具体的なる諸制度に関しては頗る適切であるが・・・
これを根本的なる倫理観念に応用する時には若干の修正を要する。
と、言う。

何となれば旧日本の建設者でありかつその所産たりし武士道は現になお過渡的日本の指導原理であり、しかしてまた新時代の形成力たることを実証するであろうから。
新渡戸

現在、この新渡戸の言葉は、生きているのか・・・
今の、日本には、武士道の欠片でもあるのか・・・

解らないのである。

男としての生き方を、武士道に尋ねる男がいるだろうか。
武士道とは、死語になっているのではないか・・・

やむにやまれぬ大和魂・・・それを生きる男が存在するのだろうか。
確かに、海外に出掛ける、ボランティア、海外で、職務を遂行する人たち・・・
それに近い、精神を抱いているように、見える。

更に、あえて、武士道に生き方を問う若者たちもいるだろう。
だが・・・
武士道は、死に絶えてしまったのではないか。



posted by 天山 at 07:10| 国を愛して何が悪い3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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