2012年04月20日

まだ悲しいプノンペン7

部屋に戻ると、まだ九時前である。
矢張り、着替えのシャツを出してみたが、上げるものはなかった。

それにしても、暑いのである。
ベッドに、横になって、休む。

マーケットに行く・・・
とても、面倒に思える。
だが、約束したことである。

さて、しかし、私は、バンコクに戻るという、気の重さと、暑さで疲れた体で、出掛けるのが、大儀なのである。

どうするか・・・
今なら、リップは、まだ、屋台にいる・・・

私は、5ドル紙幣を出して、もう一度、屋台に向かった。
そして、歩いて行くと、リップが見えた。
向こうも見たので、手を振り、こっちへと、誘った。

屋台の向かい側の道に出て来たので、そこで、リップに、ソォリー・・・
これで、君の好きなシャツを買って・・・

と、5ドルをリップの掌に握らせた。
リップは、戸惑ったようである。

少しの沈黙の後で、リップが、英語でペラペラと話し出した。

おおよそ、
僕のシャツをあなたが、マーケットに行って買ってくれるんだよね・・・
どうして・・・僕は、それが楽しみだったのに・・・
僕に似合うものを、探してくれるはずだったよね・・・

ウーン
私は、それでも、ソォリー、暑さで疲れて、部屋で休みたいんだ・・・

リップは、腑に落ちない顔をした。
私は、本当に、ごめんなさいと、言った。

リップは、解ったと、言う。
私は、握手して、もう一度、ごめんなさいね・・・と言った。

リップは、少し笑った。
良かったと、思った。
そして、別れて、ゲストハウスに戻る際に、何か変だと、感じた。

部屋に入り、矢張り、おかしい。
リップが言った。僕のために、あなたがマーケットに行って、僕に合うシャツをプレゼントしてくれるって・・・という、言葉に、ハッと気付いた。

これは、何と言う事をしたのか・・・
私は、常々、物に心を託して、大和心を託して・・・と言い続けていた。
更に、日本の人たち、特に、金で解決という人たちに対して、批判と批難を繰り返していた。
金で買えないものを、知っている私は・・・

衣服など持参するより、金を渡せば・・・・という、アホなど・・・
何度も書いていた。

しかし、私も、その人たちと、同じではないか。
日本の、そういう人たちと、同じ空気、水を飲んでいる私というものを、実感した。

自己嫌悪。
私も、彼らと同じではないか・・・

ベッドで、横になりながら、私は、酷い自己嫌悪に襲われ、更に、何て事をしたのだという、慙愧の思い。強く、強く、感じた。

彼は、私から、金ではなく、シャツを貰いたかったのである。
そして、彼には、5ドルとは、大金である。

貧しい子にとって、5ドルは、手に出来ないお金である。

私は、時計を見て、10時過ぎであるのを、確認して、マーケットに行くことにした。
急いで、部屋を出る。
ラ・モンさんを探してマーケットに行くと決めた。

屋台に行くと、ラ・モンさんの姿は、辺りに無い。
お姉さんがいた。
リップは・・・
ああ、どこかに行ったは・・・
ラ・モンさんは・・・
少し前までいたけれど・・・どうしたの・・・
マーケットに行きたい・・・
私が、言うと、丁度、お姉さんの旦那さんが、バイクに乗って来た。

お姉さんが、私の夫ですと、紹介してくれた。
そして、マーケットに行きたいらしいの・・・と、夫に言っているように感じた。
すると、旦那さんが、私に、オッケー、マーケットと言う。
俺が連れてゆくよ・・・と感じた。

そして、屋台の後ろの小屋に入った。
着替えてくるようだった。
と、その時、ラ・モンさんのトゥクトゥクが、近づいて来た。

あっ、ラ・モンさんだ・・・
私がお姉さんに言って、ラ・モンさんに連れて行ってもらいます・・・

ラ・モンさんのトゥクトゥクに飛び乗った。
マーケット・・・
オッケー

近くのマーケットは、安いと聞いていたので、任せた。

そして、マーケットの衣類店に行き、少し時間を掛けて、半袖のシャツと、長袖の、ワイシャツよりも、カジュアルなものを選んだ。
二つで、12ドルを、11ドルに、ディスカウントしてもらった。

それを持って、また、屋台に戻る。
お姉さん夫婦がいた。
私は、買ったシャツを、お姉さんに見せて、どうだろう・・・と聞いた。
ゥワーと、お姉さん。その夫も、自分のことを指して、欲しいな・・・
更に、夫は、ハウマッチと、尋ねてきた。
私は、ノーノー・・・

シャツ一枚買うということは、大変なことだろう。
10ドル、4万リアル。食事が10回以上出来る。

お姉さんに、手渡して貰おうと思ったが、また、リップか戻ってくると言うので、私は、それを持って、一度、部屋に戻った。

ゲストハウスを出るまでは、十分に時間がある。
それに、昼食も出来る。

私は、何としても、私の取った行動を、取り戻したいと思った。
日本人は、お金があるから、お金で何でも、解決する・・・・
そんなことを、リップに思われては、日本人の恥じであると・・・

ちなみに、リップは、家族で唯一、インターナショナルスクールに通っている。
屋台の母親が、せめもとの思いである。
だが、それ以上の教育は、無理なのである。
大学に行くには、お金が無いと言った。



posted by 天山 at 00:03| まだ悲しいプノンペン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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