2011年11月15日

伝統について。49

思ふらむ その人なれや ぬばたまの 夜毎に君が 夢にし見ゆる

おもふらむ そのひとなれや ぬばたまの よごとにきみが いめにしみゆる

私を、思うという、あなたは、ぬばたまの、夜ごとに、夢に見ることが、どうしてありませんでしょう。夢にも、一向に見えません。

思ふらむ
強い否定をともなう、疑問である。

これは、本当に、思っているの・・・
嘘ではないか・・・
思い惑う心。

相手は、プレイボーイなのかもしれない。

かくのみし 恋ひば死ぬべみ たらちねの 母にも告げず 止まず通はせ

かくのみし こひばしぬべみ たらちねの ははにもつげず やまずかよはせ

このように、死ぬほどの思いで、恋しています。たらちねの母にも告げました。絶えず、通ってきてください。

通い婚は、平安期まで、続く。
待つ女・・・行く男・・・

これは、このように、恋を続けていたら、死んでしまう、とも、いえる。

恋に死ぬ。
演歌のようです。

大夫は 友の騒ぎに 慰もる 心もあらむ われそ苦しき

ますらをは とものさわぎに なぐさもる こころもあらむ われそくるしき

男は、仲間によって、慰められることもあるだろう。私は、一人で、苦しんでいるのに。

女は、耐えつつ、偲びつつ、男を慕う。
何気なく、口から出る、言葉である。

偽も 似つきてそ為る 何時よりか 見ぬ人恋ひに 人の死する

いつはりも につきてそする いつよりか みぬひとこひに ひとのしにする

嘘も、少しは、本当らしく言うものです。いつから、会わない人を恋して、死ぬのでしょう。

男が嘘を言う。
全然、逢いに来ないのである。それでも、好きだと言うのだろう。

逢ってもいずに、恋して、死ぬと、言う。
大胆、純粋、素朴な、恋心である。

恋は、死に値するものだった、万葉時代。

恋に純粋な時期がある。
それは、まだ、性に触れない年頃である。

だが、性に触れて、慣れると、恋は、堕落する。
いや、恋が、命になる。

性と、恋と、命・・・

どうも、万葉時代は、それらが、一緒の価値観だったようである。

素朴な、性の有様・・・

生理的満足より、心の満足を、求めた、万葉時代である。
時代は、進化し、性のあり様も、実に、複雑怪奇になった。

性、セックスとは、何か。
考えるに、値するテーマだ。



posted by 天山 at 07:21| 伝統について2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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