2010年10月18日

天皇陛下について 74

昭和天皇が杉山元・参謀総長を更迭して、後任に東久邇宮をあてたらどうか、とのべたのは、杉山が「統帥権」を楯に「どしどし」戦線を拡大し、アメリカとの戦争準備をすすめている軍部の象徴的存在に映っていたからである。
松本健一

昭和16年8月1日、杉山は、「満州への第二次派遣に関する件」を上奏した。
この時の、天皇の、御下門が、杉山のメモに残る。

之が派遣到着しても、やらないだろうね。

増派した軍隊が、到着して、ソ連軍との戦争をはじめないだろう、という、意味である。

これに対する、杉山の答えは、
心配しておりますのは、満州の戦備の整わぬ時に先方から英米と結び、積極的に転ずる場合であります。敵の空中兵力の攻撃を受けた時に空中戦の本質上「ソ」満国境付近の戦闘でも少し「ソ」領に入れば敵機に大損害を与える得る様な場合は、又は敵機が飛行場に帰還して時に之を撃つ等、我航空隊が「ソ」領進入を考えなければ之は国策にも関係あるを以って、予め定めおくを要すると考えて研究して居ります。

兵力の増派が、敵に対する、抑止であることを越えて、ソ連領への侵入の上で、戦争をはじめるという、可能性を言うものである。

これを聞いた陛下は、
仏印(フランス領インドシナ)に進駐してから、仏側はどうか。

これは、南部仏印に進駐をはじめたことに対し、陛下が、フランスとの関係を懸念し、それによって、アメリカが、在米日本資産を凍結したことを、ご心配されての言葉である。

アメリカは、その直後、8月1日に、対日石油輸出を全面禁止にした。

これに対して、杉山は、南部仏印では、ドゴール派が、少し騒ぐだけだと、フランスとの関係は、「大体において良好なり」と答えている。

また、資産凍結も、当然予期していたことだとの、旨を言う。

天皇は、その答えを聞いて、
予め予期していたことというが・・・
何故、はじめから、そういわなかったのか・・・
と、怒りを込めて、発言している。

天皇は、東久邇宮が、拝謁した時、杉山の批判を口にした。
宮の、一皇族の戦争日記にて、
天皇陛下の、お言葉を書いている。

軍部は統帥権の独立ということをいって、勝手なことを言って困る。ことに南部仏印進駐にあたって、自分は各国に及ぼす影響が大きいと思って反対であったから、杉山参謀総長に、国際社会は悪化しないかと聞いたところ、杉山は、なんら各国に影響するところはない、作戦上必要だから心中しますというので、仕方なく許可したが、進駐軍後、米英は資産凍結令を下し、国際社会は杉山の話と反対に、非常に日本に不利になった。陸軍は作戦、作戦とばかりいって、どうもほんとうのことを自分にいわないので困る。

これは、統帥権の独立を楯に、政府をないがしろにし、更に、天皇にも、都合の悪い情報を、言わない。
作戦を口実にして、暴走する、軍への、批判である。

軍部独裁・・・
見えてくるのである。

それに対する、東・・・の返答を、近衛の手記に見る。
私からも、今後ほんとうのことを陛下に申し上げるように、統帥部および陸軍当局によく注意しておきますが、陛下は大元帥でいられるほかに、各関係当局から、政治、外交、軍事について、いろいろ報告を聞かれているのだから、とりわけ、国際関係に対して広い観点から全般的に判断されることができる。
しかし陸海軍部は、統帥権の独立を理由とし、作戦上の要求をしばしば政府に要求しようとしている。
そして・・・
陛下の御反対はごもっともと思う。現在の制度では、陛下は大元帥で陸海軍を統率しているのだから、・・・お許しにならなければいいと思います。

近衛、東・・・も、立憲君主たらんとした、天皇とは、異なり、天皇は統帥権をもった、大元帥であると、進言するのである。

軍という組織がそのような理性を失ったのは、みずからを「現人神」としての天皇を戴いた「皇軍」とよび、その中国での戦争を「聖戦」と唱えるようになってからだ。そして、この昭和12年から16年という時期の大半に、首相として政治にたずさわったのが、近衛文麿だったのである。戦争責任は、まず第一に、近衛において認識されるべきなのである。
松本健一

天皇の、お考えとは、程遠い、軍部の、暴走・・・
天皇が、一言も言わない、現人神を用いて、それは、架空の存在である、を、掲げて、兵士たちに、士気を高揚させて、戦争へと、進む。

最も、天皇の意思を、見ない、聞かない、知らないという、傲慢である。

戦後、左翼系の人たちが、天皇の戦争責任を掲げて、天皇打倒を叫んだが、ただ、彼らは、知らなかったのである。
更に、共産思想である。

盲人と、同じである。

もう一つの、大きな要因は、国民である。
国民が、戦争を強く望んだのである。

それは、当時のマスコミを見れば、解る。
国民に、迎合する記事を書き続けたのである。

軍部と、国民の狂いが、戦争へと、駆り立てた。

その中にあり、冷静だったのは、天皇陛下である。

当時の、常識を有していたのは、陛下のみ。

陛下の御心を無視し続けて、軍部は、戦争準備を進め、政治は、機能しない。一体、誰が、戦争を止められるのか。
陛下のみである。

最後まで、戦争回避し、外交努力を説いた、陛下のお姿を、見る。



posted by 天山 at 00:00| 天皇陛下について2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。