2010年08月08日

天皇陛下について 8

昭和初期の、軍部は、とても、傲慢不遜だった。
これが、後々に、日本の命取りになるとは・・・

当時、思想的には、どのような状況にあったのか。
東京帝国大学教授、美濃部達吉博士の、「天皇機関説」の、是非が、国会で、議論されたという。

それは、主権在民か、天皇主権をとるかの、憲法論争にまで、発展した。

美濃部は、国家を一つの法人として、見るならば、天皇の統治権も、司法・立法・行政とおなじように、国の機関であり、大日本帝国憲法を擁して、立憲君主制をとっている、日本に、天皇の主権を、専制君主制のごとく、とらえるのは、おかしい、ということになる。

帝国憲法では、君臨すれども、統治せず、の、配慮がされていた。
日本が、天皇の国のためだとは、言わないのである。

ところが、天皇ありて、国家があるのであり、国家があって、天皇があるのではないとの、激した、考え方が、多数を占めた。

天皇陛下の、存在を絶対視、神聖視して、他の価値観を、否定した。
それが、矢張り、後の軍部に採用される。

それでは、昭和天皇は、どのように、考えたのか。

天皇は、憲法擁護の立場で、君主主権より、国家主権のほうを、認めると、いう。
君主主権は、専制になりやすい。
わが国のように、君国一体ならば、天皇機関説でもよいという、見解であった。

更に、美濃部博士を擁護して、不忠ではない、あのような学者を、葬ることは、惜しいことだと、述べられた。

逆に、右翼化している、反機関説のほうが、天皇の、御旨に、背いている。

このように、天皇陛下は、国民を信じていた。
国民が敵ではないのである。

敵を想定しない、天皇家の伝統は、限りなく、深いものがある。

美濃部博士の、起訴猶予が伝えられた時、陛下は、よかったと、側近に、仰ったという。

昭和11年2月のことである。
東京は、53年振りの、大雪に見舞われた。

そして、国体を揺るがす、突然の事態が、発生した。
政府、軍部は、震撼し、市民も、恐怖に陥れた。

2,26事件である。

皇道派と呼ばれる、急進派で、天皇を絶対視する、過激な青年将校の、一群が、中心となり、統制派と呼ばれる、政策論を建前に、中国などへの、対外戦略を推進し、国内に、疲弊を招いて、私腹をこやす、時の、政財界人に、天誅を加えるために、決起したのである。

昭和維新を旗頭に、天皇陛下の、直接裁可を仰ごうとしたものである。

天皇の、統帥権を勝手に利用する、統制派に対して、青年皇道派は、武力に踏み切った。

何と、総勢、1400名である。

皇軍の、同士討ちを恐れた、軍部は、逆賊扱いせず、認める方向に、考えた。

しかし、理由の如何を問わず、陛下の、許すところではなかった。

朕が股肱の老臣を殺戮す。このごとき凶暴の将校ら、その精神においてもなんの恕すべきものありや

陛下は、速やかに、暴徒を鎮圧せよとの、勅命を下された。

軍は、慌てふためいた。

陛下は、再び、朕みずから、近衛師団を率いて、鎮定にあたらん、と、申された。

決起部隊は、彼らの信奉する、天皇陛下自身から、逆賊の汚名を着せられ、そこで、有名な、兵に告ぐ、の、言葉に涙を呑んで、投降することになった。

いまからでも遅くないから原隊へ帰れ
抵抗するものは全部逆賊であるから射殺する
おまえたちの父母兄弟は国賊となるのみでみな泣いておるぞ

参加した、兵士は、青少年であり、上官の命令は、陛下の御命令でもあると、教えられていたものである。
これは、天皇を父親以上に、更に、神として、崇めていた考え方を、天皇によって、否定されたことになる。

一体、どちらが、正かったのか・・・

統帥権干犯問題の決定的努力が、完全に失敗した。

直接参加しなかったが、首謀者として、北一輝が、処刑された。

ただし、軍部は、天皇絶対視、神聖視を、止めなかった。
兵士を、思うがままに、使役するため、天皇の、威光を建前とて、掲げたのである。
それが、大東亜戦争の兵士たちの、悲劇となる。

天皇みずからが、それを否定した。

つまり、天皇は、極端を嫌った。

たゆたふ、曖昧な心にある、大和心というものを、その身で、示されたと、私はいう。

これが、王ならば、王の絶対視、神聖視する、兵士たちは、王の最大の、軍隊になるのである。
しかし、日本の天皇は、決して、王ではない。

なる必要もない。
伝統として、天皇家は、国民、国家を、見守り、その平和と、繁栄を願う存在である。

軍が、慌てたのは、同士討ちである。
天皇が、恐れたのは、内戦である。
それは、もう、歴史が証明していた。
天皇は、内戦を認めない。
内戦に至るのであれば、我みずから、兵を率いて、鎮定に当たるという、その心は、天皇陛下に、備わる、天皇の御心である。

大和魂とは、そういう心、魂を、いう。




posted by 天山 at 00:00| 天皇陛下について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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