2009年09月17日

伝統について 47

昨日見て 今日こそ隔て 吾妹子が 幾許継ぎて 見まくし欲しも

きのふみて けふこそへだて わぎもこが ここだくつぎて みまくしほしも

昨日逢って、今日だけ離れているのに、吾妹子を、ずっと、見続けていたい。

単純、素朴。
そのままを、歌う。

人も無き 古りにし郷に ある人を めぐくや君が 恋に死なする

ひともなき ふりにしさとに あるひとを めぐくやきみが こひにしなする

人もいない、古びた里にいる私を、可愛そうに思うのか。あなたは、私を、恋に死ぬ、とするのか。

古りにし郷
卑下した言い方である。
つまり、我が身を卑下している。

恋死にさせようとしているのか・・・

辛い、片恋であろうか。

人言のしげき 間守りて 逢ふともや さらにわが上に 言繁けむ

ひとごとのしげき まもりて あふともや さらにわがへに ことしげけむ

人の噂が、しきりにある中を逢う。そして、私に対する、噂は、一層激しいものか。

今も昔も、人の恋路は、噂が、盛んになる。
人の恋路・・・
皆、とても、興味があるのだ。

そして、それは、また、我が身にも、返ってくるもの。

里人の 言縁妻を 荒垣の 外にやあが見む 憎くあらなくに

さとひとの ことよせつまを あらがきの そとにやあがみむ にくくあらなくに

里の人たちが、噂で、私に寄せる妻を、荒垣の外から、私は、見るのだろうか。憎くはないものを。

とても、仲のよい関係なのに、里の人たちが、噂して、真偽を話し合う。
それを見て、実際は、とても、愛しているのにと、思う。


人眼守る 君がまにまに われさへに 早く起きつつ 裳の裾濡れぬ

ひとめもる きみがまにまに われさへに はやくおきつつ ものすそぬれぬ

人の目を気にする、あなた。連れられて、私は、朝早く起きて、裳の裾を濡らしたことです。

逢引の後の、朝である。

君が、さあ、急いでと、促す声に、朝露に裾を濡らしつつ、急いで、人目から逃れるように・・・

何とも、微笑ましい。

若さが、溢れる。
この情景が、歌、演歌、流行歌になって、歌われた。
そして、今は、また、新しい言葉となり、その心境が、歌われる。

恋を扱う歌は、いつまでも、廃れない。

人がいる限り、恋する心は、存在する。
恋する。つまり、それは、生きることなのである。





posted by 天山 at 00:00| 伝統について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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