2009年09月16日

伝統について 46

朝戸を 早くな開けそ 味さはふ 目が欲る君が 今夜来ませる

あさのとを はやくなあけそ あじさはふ めがほるきみが こよひきませる

朝の戸を、早く開けないで、ください。味さはう、群れ、鴨のことである。
それらの目が、見ている。逢いたいと思う君が、今夜は、来ているのだから。

つまり、人に知られたくないのである。

欲る君が
逢いたいという、気持ちをいう。

玉垂の 小すの垂簾を 行きかちに 寝は寝さずとも 君は通はせ

たまだれの をすのたれすを ゆきかちに しはなさずとも きみはかよはせ

玉垂の、御簾の垂簾を間にして、寝ることはできなくとも、あなたは、来てください。

寝を、し、と、な、と、読ませる。
こういうことが、難しい。
ねはねさずとも、と、読んでもいい。

たらちねの 母に申さば 君もわも 逢ふとは無しに 年は経ぬべし

たらちねの ははにもうさば きみもわも あふとはなしに としはへぬべし

たらちねの、母に告げたら、あたなも、私も、逢うことなく、年だけが、過ぎてゆくでしょう。

母親は、反対なのである。
恋の、邪魔者は、母親なのである。

男が、俺が言うと、言った。しかし、それを言えば、逢えなくなるという、気持ち。
娘の悩みは、深い。

愛しと 思へりけらし な忘れと 結びし紐の 解くらく思へば

うつくしと おもへりけらし なわすれと むすびしひもの とくらくおもへば

あの人は、私を、愛しいと、思っているようだ。忘れるなと、結んだ紐が、自然に解けるのであるから。

愛しと
うつくしと
愛と言う字を、うつくしいと、読ませる。

これが、大和言葉の、骨頂である。
当時、漢語を持って、更に、その音をもって、大和言葉を、表記した。
ゆえに、漢字の意味以上の、想いを、込めたものが多い。

笑むも、咲くと、書く場合もある。

咲む、である。

漢語をして、表現の自由な発想を、楽しんだようである。

この、文字を、この大和言葉に、使用しようと、考えた人々の、感性は、素晴らしい。
大らかに、豊かに・・・

当時の、漢字の意味は、限定されていたはず。
しかし、それを、拡大解釈して、大和言葉を、当て嵌めた。

上記の歌は、意味深である。

忘れるなと、結んだ紐が、解けた。
つまり、相手の前で、紐を解くことになるのだろう。
それは、セックスを意味する。

紐を解く。
契るのである。
恋は、性なのである。
とても、明るく、おおらかな、性である。



posted by 天山 at 00:00| 伝統について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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