2009年09月06日

伝統について 36

雷神も 少し動みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ

なるかみも すこしとよみて さしくもり あめもふらぬか きみをとどめむ

雷が、少しとどろいて、曇り始めた。雨が降らないだろうか。そうすれば、あなたを、引き留められるのに。

何事もない、歌である。
一晩を過ごした、恋人が、朝帰るのである。
もう少し、一緒にいたい、そんな心境である。

雷神の 少し動みて 降らずとも われは留らむ 妹し留めば

なるかみの すこしとよみて ふらずとも われはとまらむ いもしとどめば

雷が、少し轟いて、雨が降ることがなくしても、私は、留まる。妻が、留めるなら。

上記、二首で、組になっている。

そんな、やり取りをする。
今の時代も、同じだろう。
出来るだけ、一緒にいたいのである。
一緒にいても、飽きない。
好きだという、気持ちに、飽きはこない。

しきたへの 枕動きて 夜も寝ず 思ふ人には 逢はむもの

しきたへの まくらとよきて よるもねず おもふひとには あはむもの

しきたえの枕が、動いて、夜も寝られない。思う人に、あとで、逢うからだ。

しきたえ、とは、上等な布で、作った枕である。

逢わずとも、心が通い合うという。
次の歌は、その女の気持ちに、応える歌。

しきたへの 枕に人は 言問へや その枕には 苔生しにたり

しきたへの まくらにひとは こととへや そのまくらには こけむしにたり

しきたへの枕に、人は、言問いをするでしょうか。あなたを恋しているのに、お出でもなく、こちらの枕には、苔が、むしている。

男の方が、女が来ないという。
これは、おかしい。
この男は、女の元に、通わない、口実をいうのか。

いや、男も女も、それぞれの関係で、通い合うのであろう。
妻の元に通う、夫の元に、通う。それぞれの、理由がある。

次は、
正に心緒を述べたる
歌である。
ただにおもひをのべたる
思いを、心緒と、書く。

思いは、心の中に結ぶもの、または、心を結ぶものと、考えた。

漢字は、日本に輸入されて、更に、その意味を深くしたといえる。
漢字は、日本にて、完成したともいえる。

たらちねの 母に障らば いたづらに 汝もわれも 事は成るべし

たらちねの ははにさやらば いたづらに いましもわれも ことはなるべし

たらちねの、母に拘っていたら、あなたも私も、事は、ならないだろう。

母親に、妨げられることで、二人の関係が、成らないのである。
ことはなるべし、が、障らば、ならないのである。

当時は、母親の、思いが、とても強く、影響した。
つまり、母系社会である。



posted by 天山 at 00:00| 伝統について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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