2009年08月08日

神仏は妄想である 228

グプタ王朝の、集権的国家体制が、バラモン教思想を主軸として、思想の固定化、体系化を目指していた情勢に応じて、伝統的、保守的仏教諸派も、体系化を目指した。

更に、当時の、公用語である、サンスクリット語を採用したのである。

幾多の書が作成されたが、後世、もっとも、重要視されたのは、ヴァスバンドゥ、つまり世親の、書だった。

更に、大乗仏教も、哲学思想は、あったが、理論体系をもたなかった。
グプタ王朝に入り、体系化するに至ったのである。

サンスクリット語にての、著作であり、学派が確立する。

中でも、特出したのは、唯識説である。
中観哲学は、諸々の事物、つまり、諸法の空であることを、種々の論法によって、論証したが、体系的哲学説を持たなかった。
そこで、現実存在が、何故、かくのごとき、秩序に従い、成立しているのかと、その所以を、一定の体系的原理に基づき、組織的に、説明したのが、唯識派である。

唯識派を、ヨーガ行派ともいう。
ヨーガの行によって、唯識の理を観ずるからである。

唯識派の開祖は、マイトレーヤーである。
後世の、伝説により、弥勒菩薩と、同一視された。

マイトレーヤーの教えを受けて、唯識説を組織的に、論述したのは、アサンガ、つまり、無著である。

先の、ヴァスバンドゥは、アサンガの、弟であり、小乗を研究して、倶舎論を著したが、後に、アサンガの指導により、大乗に帰依し、多数の著書を著した。

唯識説は、人間の現実存在を構成している諸々の法は、実有ではなく、実相は、空である。
しかし、無差別一様な空という、一つの原理に従い、一定の秩序ある現実の差別相が、現れることはない。
諸々の法が、現にあるごとく、成立するためには、それぞれ空に裏付けられた、原因がなければならない。
それを、種子、しゅうじ、と呼ぶ。
種子とは、法を生ずる可能性である。
可能性は、それ自体、有でも、無でもなく、空である。
客体的なものではなく、純粋の精神作用、すなわち、識である。
それは、分別して、知る働きである。

万有は、識によって、顕現したものにほかならないとして、唯識を主張する。

外界の対象は、夢の如きであり、実在しないものである。
識の分別により、仮に映し出されたものである。
この動きを、識体の転変という。

識体が転変して、三種の識を成立させる。
第一に、アーラヤ識であり、根本識と呼ぶ。
一切の諸法の種子による。

第二に、思量の働きを成す、マナ織である。
アーラヤ識を、よりどころとして、それに依存して起こる。
アーラヤ識を対象として、我執を起こす。
我見、我疑、我慢、我愛を伴い、これによって、汚され、染汚意と、称する。

第三に、眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識の六識であり、それぞれ、色、声、香、味、触、法を認識するというもの。

人が、自己の対象を、空と悟り、実在するものを、認めない場合は、心は、唯識性に住する。

その、究極の、境地において、無心であり、無得である。
その境地は、生死と、ニルヴァーナとが、異なったものではない。
そのいずれにも、住しない。
それは、真如の智慧、般若を有するゆえに、生死に、住しないのである。

そして、慈悲を有するがゆえに、衆生を救うことに努め、ニルヴァーナに住することもない。

このような、理屈を延々として、考え続けたのであるから、驚く。

如来蔵思想というものがある。
唯識説と似る。

凡夫の心のうちに、宿る、如来たる可能性を持って、如来蔵という。

その、観念に基づき、衆生の迷いと悟りを、成立させるという、説を唱える思想である。

これが、日本の仏教に、大きな影響を与えたと、思われる。

大乗とは、衆生心である。
心に、如来の本姓が宿るという、思想で、日本仏教の説教が、ここから、出る。

心の本来の面は、あらゆるものの、総体である。
不生不滅という、絶対の世界と、生滅するという、相対世界とが、一体をなしていて、同一でも、異なるものでもない。それを、アーラヤ識という。

いずれにせよ、当時の、バラモンの、思想的体系に、対抗して、出来上がったものである。
互いに影響を与えたことは、歴然である。

それを、進歩発展というのか、屁理屈というのか。

ただ、仏教は、バラモンの階級的差別に関しては、徹底抗戦したようである。

つまり、平等主義である。
これだけは、評価できる。

グプタ王朝以降の、動きについては、いずれまた、進めることにする。

再度、法華経に戻り、書き続けることにする。

唯識についても、また、登場させて、議論したいと、思う。
空の思想から、何故、慈悲の思想が出るのか、それが、疑問である。

随分と、それは、飛躍していると思うが、空が、何故、慈悲を生ずるのか、である。




posted by 天山 at 00:00| 神仏は妄想である。第6弾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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