2008年09月07日

性について 37

我が指の
天翔ける淵に蟻が一匹
なんとキモチの良いことよ
良いことよ

古代アテネの詩人アマリウスは、手をつかうオナニーを、このように絶賛している。
指先でペニスの、様々な箇所を自由自在に愛撫できることの、喜びを表現する。

へのこ良か
良か泣くべな
左手(ゆんで)のよ
左手の
夜なべ

日本、中国地方の、俗謡である。
手のオナニーの素晴らしさが、歌われている。

キリスト教とセクシャリティは、伝統的に相性が悪かった。他方、脱宗教化を目指した社会の歴史においてもつい最近に至るまで、こと自慰に関しては、やはり道徳的断罪だけが問題だった。保守主義から、共和主義者、カトリック信者から自由思想家に至るまでの、こうした自慰断罪の執念は、十八世紀のティソーのベストセラーによって口火を切られた反自然キャンペーンを経て、十九世紀に最高潮に達した。
オナニズムの歴史 ディデエ・ジャック・デュシェ

明治以降、西洋から、入ってきた、思想は、いやがおうにも、日本人に影響を与え、更に、今までになかった、道徳的という行為にまで、発展した。
それ以前の、道徳とは、儒教による、公的生活の規範だった。
個人の生活の、更に、個人の性的関心ごとには、触れることは、少なかった。
それゆえ、西洋のオナニーから、眺めてみることにする。

西洋人のオナニーの定義を見る。
勿論、文献は、聖書である。

旧約聖書に、登場する、オナンである。

オナンの兄、エルは、子を残さぬままに、死んだ。
婚姻制度によって、ユダの二番目の息子である、オナンが兄嫁のタマルを娶るのである。
創世記第38章

直系の子孫を遺すことが、目的である。

ところで、聖書によれば、オナンは、生まれてくる子供が、自分のものとはならないと、知って、兄嫁と、交わる度に、精液を地に漏らすのである。
それが、エホバの神の怒りに触れた。
そして、死んだ。

未完の中絶性交が、神の怒りに触れたのではなく、掟に従わなかったことが、怒りに触れた。
ちなみに、エホバの神とは、実に、殺しの好きな神である。

そこから、オナニズムという言葉が、現れ、更に、それが、マスターベーションとつながる。しかし、マスターベーションの、言語学的起源についての、定説は無い。

手と汚すという言葉に、由来するといわれるが、男性生殖器と、興奮、刺激という、言葉に由来するというものがある。

16以前のフランスの辞書には、どちらの言葉も、見当たらない。
15680年に、モンテーニュが、マスターベーションは、1787年に、サドが使ったことが、最初だと言われる。
つまり、自慰者である。

更に、この間に、刊行され、ディドロとダランベールの百科事典に、医学病理用語として、マスターベーションとして、長い記述がある。

オナニズムと、マスターベーションという言葉の、混乱が何故起こったのかということは、解明されないままである。

1715年に、オナニアと、題された匿名の本が、ロンドンで出版された。
そこには、セルフ・ポリューションという言葉が使われている。
オナニズムという言葉は、無い。

1758年に、ラテン語で、書かれた、ローザンヌの医師、サミュエル・オーギュスト・ダヴィド・ティソーによって書かれた、マスターベーションに伴う病気についての論考、との題での、論文がある。

それが、1760年に、フランス語で、訳されてから、決定的な、第一歩を踏み出すことになった。
その、題名は、オナニズムーあるいはマスターベーションによって引き起こされる病気についての生理学的論考、である。

その後は、オナニーと、マスターベーションは、混同されて、今に至る。

同じ意味合いで、使用される言葉と、なった。

神学より、先に、医学が、一歩を踏み出した。そして、それに、神学が、追い込むようにして、定義を始めたと、言ってよい。

そうして、恐ろしい時代の幕開けが始まるのである。

教会はつねに、人間の身体に疑いの目を向け、それを価値の低いものと見なし続けてきた。身体が復権され、性欲と性的行為とが認められるようになったのはつい最近のことにすぎない。それがはりか、自慰に伴う罪悪感に、医学的な理由づけが大きな影を落としてきたことも事実である。「肉欲の罪」は、とりわけ、個体と種の保存のための衛生規則に対する違反と結び付けられることになる。医者と神学者は、こうして、救済の問題、医学の証明を媒介にして天から地に戻された救済の問題を前にして、一致協力しあったのである。
ジャック・デュシェ


ちなみに、1995年に、出版された、英語版の日本語訳、セルフ・ラブという、本を手にしている。

副題は、私が私を愛するとき、である。
これは、捨ててしまう可能性があった。しかし、今手元にあり、利用価値が、見出されて、私は、満足している。

著者は、ベティー・ドットソンで、画家、作家、セックス教育家であり、マスターベ-ションや、セックステクニック指導者としても、名高い女性である。
特に、女性の、マスターベーションを推奨している。
マスターベーションが、特に、男性向きだったものを、女性に解放した、貢献は、大きい。



posted by 天山 at 00:00| 性について2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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