2016年05月10日

玉砕121

戦争をしない国、という本がある。
文は、1960年生まれの、矢部広治さんという方である。

この本は、明仁天皇、今上天皇、皇后陛下のお言葉を紹介し、色々な疑問を投げかけている文である。

その中から、
2005年6月28日、第二次世界大戦の戦没者を追悼するためサイパンを訪れていた明仁天皇と美智子皇后は、当初の公式日程には含まれていなかった沖縄や朝鮮半島出身者の慰霊塔などを含む、島内の主な慰霊の地すべてをめぐり、拝礼されました。
国籍や軍人・民間人の区別なく、戦争で命を落としたすべての人びとの魂をなぐさめる。それは沖縄南部の戦跡に立つ「魂魄の塔」に始まり、その後、国内での旅によって確立された明仁天皇の慰霊の思想が、海外にまで展開された最初の例だったといえるでしょう。
右の文中にある「海外での戦死者240万人」の半数以上は飢死だったといわれています、
さらに「全体の戦死者310万人」のうち、1944年以降の戦死者が、大多数をしめています。それは対馬丸のところで見たように、サイパン島の戦いと併行して行われたマリアナ沖海戦で、日本軍が空母と航空機の大半を失い、戦いに完全に決着がついたあとも、なんの展望もないまま、ただ戦争を継続したからでした。
みなさんもよくご存知のとおり、サイパン島から直接本土を爆撃できるようになったB29に対して、日本は竹ヤリの訓練をしていたのです。
こうした戦史を具体的に見ていくと、そもそも旧日本軍の参謀たちには、最初から海外で戦争をする能力など、まったくなかったといわざるをえないのです。

上記は、一理ある。
理解する。

しかし、これは、矢部氏の考えた、戦争である。

最初から、海外で戦争をする能力がなかった・・・
確かに、その通りであろう。

だから、何度も書くが、昭和天皇はじめ、多数の人たちが、和平交渉を続けていたのである。
この調子で、語られると、誤る。

日本の外交努力を無視して、単に、終わった戦争の当事者を批判することは、簡単である。

また、参謀たちのせいにすることも、簡単である。
上記を否定しないが、この記述だけでは、誤るのである。

もし、戦争をしなかつたら・・・
戦わずして、アメリカの言いなり、つまり、植民地になったという、可能性も、大である。
勿論、今の日本は、アメリカの植民地であるといえる。
だが、戦争をして、敗戦した、しないで、殖民地になるとは、訳が違う。

少なくとも、日本は、日本人は、何もせず、殖民地を望まず、敗れても、戦ったという、事実が大切である。

なんの展望もないまま、ただ戦争を継続した・・・
後付で、意味は、何とでも、付けられる。

起こってしまった、起こしてしまった、戦争というものを、追悼するならば、その過程を、十分に見つめることである。

日本軍は、人命軽視の考え方で、更に、天皇を利用して、軍部は、大勢の若者を、戦死させたということは、私も、その通り書いてきた。

二度と、このような、戦いほしないという、誓いと共に、考えることは・・・

今上天皇のお言葉の、願いと、希望、そして、理想を追い求めることである。
しかし、ここで大事なことは、現状を鑑みて、行為するということである。

理想は、現実に遠い。
その遠い理想に向かい、現状から、出発するのである。

当時の、軍部を批判し、更に、誤りだったというのは、簡単なことである。
しかし、それによって、多くの人たちが、命を落とした。
その命を捧げた人たちも、その不可抗力に生きた時代。

その、時代性と、時代精神を無視できないのである。

現在から、過去の史実を考える時、当時の状況を無視できない。

矢部氏の論調に共感するが、具体的なことが記されない。
問題提起の投げ掛けである。

それでも、天皇皇后両陛下のお言葉を紹介するという、試みに深く、共感するものである。

この矢部氏の、発言を少し俯瞰して見て、更に、考えてみたい。

過去を取り上げて、極端に裁くこと、あるいは、極端に礼賛することも、私は、否定する。

右翼、左翼、右派、左派、等々、あまり意味のないことだ。
それより、事実を知ることである。
そして、その事実を、どのように受け止め、未来に生かしてゆくかである。

理想は、高くてもいい。しかし、まず、現状、現場からの一歩である。
今、目の前にある問題を、過去に囚われて、先に進めないことが、最も不憫なことである。

昭和天皇は、実に、極端を嫌った。
天皇を神の如くにして、その名を利用して、兵士たちを死に駆り立てた、軍部を嫌った。
しかし、天皇は、君主であり、国の大本、国体でもある。

一度、戦争が始まれば、それを励まし、そして、戦果に対して、労いのお言葉を発するのである。

幾度も、昭和天皇は、戦争ではなく、外交による、和平の道を説いた。
しかし、時代性、と、時代精神がある。
それには、誰も、逆らうことが出来ない。

当時、有色人種の国々が、欧米列強の殖民地であったこと。
そして、力の世界であったこと。
唯一、日本だけが、列強に対処出来る立場だったこと。

それを鑑みて、考えるべきことが、多々ある。



posted by 天山 at 05:07| 玉砕3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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