2016年04月01日

玉砕115

栗田艦隊と合流するはずだった、西村艦隊は、実際、スリガオ海峡で、死闘を繰り広げていた。

西村艦隊が、24日、午前八時、ミンダナオ海の西口に近づいた頃、米走策敵機に発見され、まもなく、急降下爆撃機、17機に襲われた。

損傷は、軽症だったが、西村中将は、未明に発進した、最上の水偵がもたらした情報により、レイテ湾頭に、自軍の約三倍に当たる、水上部隊が、待ち受けていたことも知っていた。

西村中将は、退かなかった。
栗田艦隊との約束は、取りやめになったわけではなく、今となっては、退くことが出来なかった。

24日夜半、スリガオ海峡南口に差し掛かると、まず、水道の両側の島陰に隠れていた、高速魚雷艇が、群がり、襲ってきた。
西村艦隊の隊形は、先頭が、満潮と、朝雲が、単縦陣で前衛となり、その後方4000
メートルに、山城、扶桑、最上が、各1000メートルの間隔で続行していた。

艦隊は、適切な回避運動と、集中砲火により、これら魚雷艇郡による、第一ラウンドの襲撃を退けることが出来た。

西村艦隊に味方したのは、魚雷艇が掻き回す夜光虫の、おびただしい光である。

途中経過は、省略する。

結果的に、最上は、落伍した扶桑を、追い越すと、山城の後方1000メートルについて続行した。
後落した、扶桑は、全艦火達磨になり、炎々と燃え上がった。

西村艦隊は、回頭しつつ、一斉に砲撃を開始したが、視界が悪いせいもあり、有効弾は、得られなかった。

反転避退する米艦は、煙幕を発しながら、応戦の反撃もせず、ひたすら北方に避退する。

一斉回頭して、しばらく経過すると、魚雷が回避しきれぬと思った瞬間、ほとんど同時に満潮と山雲に、魚雷が突き刺さった。
満潮は、航行不能になり、山雲は、爆発を起こし、大音響と共に、沈没した。

続いて、朝雲が、一番砲塔直下に魚雷を受け、艦首を切断されて、漂流状態となった。
これと、前後して、山城の左にも、魚雷一本が命中した。

西村艦隊は、山城、最上、時雨の三隻となった。
その後、レイテ島寄りに南下してきた、米駆逐艦五隻に、第二次攻撃にさらされた。

これ以下の、状況は、省略する。

志摩艦隊が、西村艦隊の後続部隊として、スリガオ海峡入り口に進出してきたのは、午前三時頃である。

当時、西村艦隊は、米駆逐艦の東側隊から、最初の魚雷攻撃を受けていた。
志摩艦隊は、丁度、このとき、激しいスコールに包まれて、視界が悪く、西村艦隊交戦の、光芒を認めることが、出来なかった。

ようやく、前方に、西村艦隊の戦闘の様子が見えてきた。
その中の一艦に、火災らしい、火の玉を見た。
その火の玉は、見る見る膨れ上がり、ほどなく、爆発したのか、海峡全体が、明るくなった。

だが、志摩艦隊は、結果的に、反転せざるを得なくなる。

米軍の攻撃から、逃れたのである。
一時は、全滅覚悟で、突入を決意したが・・・
幕僚の進言で、思い留まった。

志摩艦隊は、栗田艦隊宛に、
当隊攻撃終了、一応戦場離脱、後図を策す、
続けて、
第二戦隊全滅、最大破炎上
である。

その電報を受けた栗田艦隊は、全体の意味がつかめず、何隻かは、戦場を抜け出して、約束の合同地点に現れるだろうと解釈し、25日午前六時頃、スルアン灯台の北方80浬まで、進出した。

レイテに展開した、栗田艦隊、西村艦隊、志摩艦隊である。

その後、栗田艦隊は、サマル沖で、突然の米軍と、遭遇戦となる。

米護衛空母部隊は、栗田艦隊を視認した当初は、驚愕し、狼狽もした。だが、そのうちに、必死の反撃に出てきた。

艦載機が二機、三機と散発的ではあるが、ばらばらに隊形の乱れて各艦隊の上空に、飛来して、爆弾を投下し、機銃掃射を加えてきた。
更に、煙幕の中から、駆逐艦が突進して、魚雷攻撃を仕掛けてくる。

各艦隊は、米機を迎え撃ち、米艦に対する砲弾を行わなければならず、好調であるべきはずの、追激戦は、頓挫した形となった。

そのうちに、栗田艦隊の戦意を削ぐ出来事が、続いて起きた。

スコールの中に逃げ込んだ、米空母隊に対して、大和は、電探で探りつつ、無観測射撃を試み、前方のスコールは、敵が懸命に張り続ける煙幕と混じりあい、遮蔽幕を形成していた。

その幕の中に、巨弾が吸い込まれていくが、手応えが、得られない。

これ以上は、省略する。

結果、大和は、右に四本、左に二本の魚雷に挟まれた。
そして、米空母郡に接触する、望みがなくなったばかりでなく、戦況を正確に把握することが出来なくなったのである。

フィリピンのビサヤ諸島一帯を戦場とした様である。
私は、何度もビサヤ諸島の、セブ島、ネグロス島、パナイ島、レイテ島、ボホール島に出掛けている。

美しい海での、戦闘、激戦地である。



posted by 天山 at 06:11| 玉砕3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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