2015年07月31日

玉砕53

サイパン、テニアンに対する攻撃は、翌日、6月12日も、再び、米艦隊が、改めて艦砲射撃を加えた。

更に、小艦艇が泊地に侵入して、掃海作業を開始するにより、米軍のサイパン上陸が、確実になった。

こうなれば、ビアク島どころではない。
ビアク島の兵士たちは、捨てられたのである。

「渾」作戦は中止になり、第一戦艦大和、武蔵は、反転して、機動艦隊主隊との、合同地点に向った。

6月15日、朝、米軍は、サイパンに上陸して来た。
豊田連合艦隊長官は、「あ号作戦決戦発動」を下令した。
午前八時、小澤艦隊に対して、
皇国の興廃此の一戦に在り、各自一層奮励努力せよ
と、激励電を発した。

ここから、サイパンの悲劇が始まる。
そして、サイパンの玉砕である。
それは、兵士だけではない。
サイパンに居住していた、日本人のほぼすべてが、犠牲になった。

そして、海では、マリアナ沖海戦である。
それも、敗走となり、結局、日本軍の負けである。

詳しい説明は、省略する。

「あ」号作戦は、日本海軍が30年来練り上げてきた、対米漸減戦略の集大成であり、総決算の意味を持っていた。
それが、米軍の強固な反撃により、頽勢の中で、決行しなければならなかった。
日本海軍全体の、悲劇を映し出している。

さて、少しばかり、横道に逸れるが、日本軍敗戦の一つの要因は、物量の問題である。

開戦当初は、それに気づくことがなかった。
輸送船の護衛を、考えることはなかったのである。

しかし、第二段作戦に移行すると、途端に、躓く。
昭和17年5月の、珊瑚海において、初めて米機動部隊と衝突し、その闘志と戦力を見せ付けられた。と共に、輸送船団による、ポートモレスビー攻略が、あえなく頓挫する。

ソロモン、ニューギニア方面における、際限の無い補給戦と、船舶損耗の、幕開けだった。

続く、ガダルカナル島の攻防戦において、巨大な消耗戦を強いられた。
海上交通の重要さを、つくづくと思い知らされたのである。

船舶の損失が、累計で約250万トンに達した、昭和18年11月、日本軍は、たまりかねて、従来の護衛兵力の再編と、強化に着手する。

海上護衛総隊である。
11月15日、東京に司令部が設置され、初代の司令長官は、海軍大臣の前歴を持つ、及川
古四郎大将である。

しかし、その再編も、実質は、実に粗末なものだった。
艦艇の絶対数が、不足しているゆえに、連合艦隊から、一隻の駆逐艦を抽出してくるも、実際問題としては、大変なことだった。

米軍は、此の頃すでに、艦隊決戦思想を捨てて、海上交通線の破壊が、日本軍を屈服させる、有効な手段であると、確信していた。

昭和19年2月、米機動部隊による、トラック空襲、続いて、3月の、西カロリンのパラオに対する襲撃で、日本軍は、艦艇ばかりか、船舶にも、甚大な被害を出した。

この年の、8月までに日本の喪失した船舶は、500万トンを突破したのである。

そこで、同年の8月、残存の貴重な船舶を保護し、維持するという名目で、護衛総司令部の改編が行われた。

この改編の主たる目的は、護衛総司令部を、連合艦隊の指揮下に入れるということであった。

独立していた、護衛総隊の指揮権が、連合艦隊司令部に、委ねられたのである。

これは、護衛部隊にとっては、憂うべき結果を招き、その危惧は、10月には、早くも現実のものとなった。

米機動部隊の襲撃に、連合艦隊司令部は、特に対潜水艦戦用として、特別訓練していた、護衛総隊所属の、96式陸上攻撃機全機に、出動を命じたのである。

それも、不慣れな夜間攻撃に使用された。
結果、護衛部隊にとって、大切な飛行機が、一夜にして、消滅してしまったのだ。

護衛総司令部は、有名無実の存在となり、昭和20年5月、司令部は、解消され、豊田連合艦隊長官の兼任となったのである。

そして、そのまま、敗戦へ進む日本軍である。

開戦の三ヶ月間の、信じられないほどの日本軍の進出は、一体、何故、このようになってしまったのか・・・
それは、専門家に任せる。

次ぎに、サイパン玉砕の仔細を書く前に、西部ニューギニア戦線で、生き残った兵士の戦記を、紹介する。

日本軍が、進出した、多くの戦地は、皆、玉砕の連続となって行く。
そして、そこには、現地の人たちも、その被害を受けるのである。

その、被害に受けて、亡くなられた霊位に対しても、追悼の意を顕す。

例えば、フィリピンの島々・・・
多くの市民が犠牲になった。
それは、日本軍が、責められても、ただ、謝罪するしかない。

ニューギニアも然り。ビルマも然り。

ただ、救いは、現在それらの国々は、反日ではなく、親日であることだ。
感謝せずには、いられないのである。




posted by 天山 at 05:50| 玉砕2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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