2015年06月12日

玉砕36

一木支隊、川口支隊、そして、第二師団と、師団単位の兵力を投入しつつ、ガダルカナル島飛行場奪回は、ならなかった。

大本営、第十七軍は、第三十八師団をもって、第三回目の総攻撃に、最後の望みを託すしかなかった。

しかし、結果は、輸送船団に大被害が出て、総攻撃は、行われなかったのである。

輸送船団の主たる目的は、第三十八師団の全兵力と、それに見合う、武器弾薬を、輸送するということである。
しかし、実際に、ガ島へ渡ることが出来た兵力は、500名にも、満たなかったのだ。

そして、つまり、それ以降、ガ島に対する兵員と、武器弾薬などの輸送が、一切行われなかったのであるから、これで、本格的なガ島における地上作戦は、終わりを告げたのである。

これは、十七軍司令部、大本営陸軍部に、先に行われた、第二師団の総攻撃の失敗以上の、衝撃を与えた。
それは、第八方面軍の新設、そして、撤収作戦へと発展してゆく、きっかけとなったのである。

ここで、被害の状況をまとめると、陸軍の戦死者2万1000名である。
その内実は、直接の戦闘による戦死者は、5000名から6000名である。
残りは、栄養失調、マラリア、下痢及び脚気によるもので、その原因は、補給の不十分に基づく、自然消耗によるものである。

戦死者の約70パーセントが、食糧、医療品の補給が断たれた状況化で生じた、広義の餓死者だった。

これも、玉砕である。

この、ガダルカナルの悲劇は、その後、各地域の戦場で、繰り広げられることになるのである。

ガダルカナル島の攻防戦は、アジア・太平洋戦争の、最大の転換点となった。
これ以後は、連合軍が、質量ともに、急速に戦力を拡充してゆくことになる。

更に、悲劇なことは、それを大本営は、知らなかったのである。
つまり、情勢分析の、誤りである。

当時のアメリカは、どのように考えていたのか。
大本営は、それを何一つ、知ることがなかった。
戦争観の違いである。

米軍は、ガダルカナル島に、侵入したのは、序の口である。

大本営は、敵の主力艦隊が、太平洋のどこかに、大挙して押し寄せ、連合艦隊と決戦をするという、イメージである。
そして、それにより、戦争終結を図るというもの。

ところが、アメリカの、戦争終結の考え方は、日本本土を直撃することであった。
それ以外の、手段は、有り得ないというもの。

空襲により、工業地帯を破壊し、海上を封鎖して、干し挙げる。
いずれにしても、日本本土で決着をつけるのである。

そのため、陸海空軍が、つねに一緒になり、島嶼を陥落させ、制空・制海権を同時に伸張しつつ、そこを不沈空母として、日本本土を目指し、島から島へと飛び石伝いに、北上するというもの。

アメリカ側の戦略構想に気づいたら・・・
違った対応を考えたであろうと、思える。

兎に角、アメリカは、戦争に長けている国である。

しかし、今は、昔である。
追悼の悼みを持って、次に進む。

ガ島撤退後、大本営陸軍部の対ニューギニア策の第一に選ばれたのが、サラモアの南南西約60キロにある、小部落ワウであった。

ここは、東部ニューギニア南岸および、サラモア、ココダ、マンバレー方面に通ずるルートの分岐点であり、小規模でも、飛行場がある、山間部の要地である。

これを、第八十一作戦という。

戦略態勢確立のためにも、奪取したいと陸軍は、第五十一歩兵団長少将の率いる、第百二連隊の二個大隊を急派した。

奇襲戦法をとったが、堅陣地に肉弾突撃を行なう結果、一回の攻撃で、致命的な打撃を受けたのである。

だが、陸軍部は、ポートモレスビー攻略を目指し、そこを押さえなければ、ニューギニア戦線の安定はないとの、考えであった。

昭和17年12月下旬に、各師団を移動させた。
朝鮮半島、中国戦線などからである。

海軍としても、この陸軍兵力の大量輸送に協力しないわけには、いかない。

さて、以下、省略して、おおよその事を書く。

翌年、昭和18年2月20日から、26日の間に、第四十一師団、主力約1万3000名を、四回に分けて、ウエワク輸送が行われた。

そして、敵勢力圏にもっとも近く、危険度も高い、ラエ輸送は、2月28日に実施される。
船団は、ラバウルから出発する。

3月3日の日没前に、ラエに到着し、揚陸作業を行なうとの計画である。

しかし、船団は、1日午後から、敵潜水艦、敵機の攻撃を受け始めた。
2日ご前八時過ぎに、B17爆撃機二機の攻撃を受け、旭盛丸が二発の直撃弾を受けて火災を起こし、約一時間後に、沈没した。

3日午前零時に、上陸する。

輸送部隊は、その後も二回のB17の爆撃を受けたが、大きな被害はなかった。
船団は、2日夜、ウンボイ島をなかにはさんで、ニューブリテン島と、ニューギニアを隔てる、ダンピール海峡を、北上から、通過した。

そこが、悲劇の、ダンピール海峡になるのである。






posted by 天山 at 05:52| 玉砕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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