2014年08月27日

国を愛して何が悪い150

精神が言葉の世界であるとすれば、それ以前の言葉によらない、意識を、心と定義してみると、万葉集は、心の世界であり、更に、それは、日本人の心の古里であると、言える。

およそ、4500首が伝わっている。
つまり、伝わらなかったものもあるということ。
そして、伝わらなかったものは、伝えられたものによって、生かされる。

万葉集とは、言葉の古墳とも、言える。

さて、その時代区分は、諸説あるが・・・
一応、解りやすくするために、三区分に分けてみる。

初期としては、舒明天皇から天武天皇末期まで、56年間。
それは、柿本人麻磨の活躍する藤原京の直前まで、である。

しかし、精神の系譜から言えば、飛鳥の精神の系譜が、ここまで続いていると思う。

七世紀の精神と言ってもいい。

初期万葉を、私は仮に「舒明一族三代歌集」と呼んでみたいのだ。
亀井勝一郎

私も、賛成である。
舒明天皇一家の歌の数々は、見事だ。

亀井は、第一は、初期飛びと、第二は、初期万葉びと、第三は、天平びと、と三つの集団として、考えている。

それは、歴史的に、舒明天皇から推古天皇の、西暦539年から630年。
孝徳天皇から持統天皇の、645年から697年。
聖武天皇から光仁天皇の、724年から780年、となる。

すでに、大陸からの文化の影響が、決定的だった時代である。

それを書き記すのに、漢字の音を使用した。
それを、訓読みにするという・・・

私は、文献研究をする者ではない。
日本人の精神以前の、心の古里としての、万葉の世界を見る者である。

一つ一つの歌については、別エッセイ、もののあわれについて、にて、書いているので、そちらを参照してください。

天武天皇は、国史編纂を始めた。
古事記、日本書記共にである。

これに合わせて、持統天皇三年に、撰善言司、よきことをえらぶつかさ、の成立があった。
志貴皇子以下六名が、任命されている。
その中の、三名は、日本最古の漢詩集、「懐風藻」かいふうそう、に収録されている作者である。

志貴皇子は、一流の歌を残している。
岩走る 垂水の上の 早蕨の 萌いずる春に なりにけるかも

漢字漢文の選択、口伝の、やまとことば、による、祝詞、寿詞、宣命の起草、漢文字による表現等・・・
古代における、文学革命である。

その中に、帰化人も含まれていると、考えてよい。

ここでとくに目だつことは、「舒明一族三代」の人々の、個性のあざやかさである。万葉集からうかがわれるだけではない。歴史にあらわれた彼らの政治的行為、文化活動を通して、これほど多種多様な個性が、宮廷をめぐってあらわれた例は、史上に稀なのではないか。それぞれが実力をもった存在である。しかも彼らの大部分は、進取気鋭の青年ではなかったか。
亀井

その、歴史の中の、万葉集である。
古来、様々な学者、研究家等が、研究を続けてきた。
だが、万葉集に定説はない。

あらゆる解釈が可能である。
時に、万葉集の権威者という者が、現れるが、それは、その一時期、一時的なものである。

古代人がそれをどのように感じ、また一語からどんなイメージを抱いたか、それを的確に知ることは不可能かもしれない。今は完全に消滅してしまった古代人固有の感覚もあるにちがいない。
亀井

そして、解釈病に陥ると、台無しである。

万葉集当時の、歌とは、いかなるものだったのか・・・
以前も、仏教が渡来しているにも係わらず、仏教関係の歌が一つもないという状況を、どのように考えるのか。

民俗学や、古代史研究家が、云々するが・・・
それは、時の権威にあるから、取り入れられる。

更に、言った者、勝ちである。

折口信夫は、うたの呪力は鎮魂にあった。鎮魂は、たまふりと解くのが古く、たましづめは後である、と言うが。

魂振り・・・
それは、御霊を奮い立たせること。
神霊に懸かられることだ。

言葉は、言霊とあるように、言葉の霊である。
霊とは、現在言われる、神と同じ感覚である。

言葉自体が、霊であった。
そのように、捉えていた。

鎮魂などという言葉は、当時は無かったのである。
勿論、一つの説としては、諒解する。

例えば、万葉では、咲くという、言葉を、笑うと読ませた。
漢語の意味から、やまとことばに訳す際に、そのように感覚を働かせた。

例えば、恋である。
魂乞い、である。
それは、現代の、恋愛ではない。

魂乞いは、あらゆる人や物に、行なわれた。

恋の、原型は、人や物の、魂を、我が身の中に、招く行為だった。
招魂ともいう。

私は、古代日本人は、大自然に対する、畏敬の念を持ち、言葉を霊として、自然に対すると同じように考えたと、思っている。
言葉に対する、畏敬である。
それは、いのちに対する、畏敬と同じである。



posted by 天山 at 05:54| 国を愛して何が悪い3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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