2014年08月01日

国を愛して何が悪い146

仏教伝来が、古代日本に与えた影響を考えることは、とても、重要なことだ。
ものの考え方、つまり、思想というものは、根本的な精神活動を促がすものになる。

仏教伝来は、欽明天皇から、推古天皇で、日本書記は、その当時のことを仔細に、説明している。

だが、
いま読んでみると、仏教というこの全く新しい思想に直面したとき、古代上流氏族の示した反応は、宗教的にはおそろしく張合いのにいものだった。
と、亀井は、書く。

少なくとも聖徳太子の出現までは、仏教伝来の過程とは、古代史上、同属間の流血の歴史であった。
亀井

そのことは、後で説明するが・・・
仏教というものが仏像によって、入って来たことが大きく関係していると、私は思う。

勿論、仏典も多く入ったが、目に見える形では、仏像である。
それが、拝む対象であることが、重要だ。

それ以前は、そのような拝むような対象にする、像は何一つ無い。

そして、古代の造形美術は、仏像制作の形で、昇華したのである。
その造形美術は、今尚、多くの人の心に、感動を与える。

だから、当時、仏教とは、新しく拝むもの、その対象として、成り立ったはずだ。

だが、そこで問題が起きる。
つまり、それを受け入れる氏族と、それに反対する氏族である。

仏教伝来の過程とは、書紀に即してみるかぎりでは、要するに蘇我一族独裁の確立過程であり、入鹿までをふくめると、蘇我一族三代にわたる一篇の殺人物語が構想されそうである。書紀の編纂者は、皮肉のつもりではなかったろうが、これが崇仏派の勝利の記録であった。
亀井

蘇我氏と、物部氏の氏族争いに発展する。
そして、蘇我氏が勝利した。

その間に、色々な事件があるが・・・省略する。

崇仏と殺人とは、矛盾なく、平然と行なわれたらしい。或いは矛盾の苦悩や告白があったとしても、伝わらなかったのであるか。一方でおびただしい血を流しながら、同時に最大の崇仏派といわれる蘇我馬子ほど奇怪な存在はない。
亀井

少し話は逸れるが、新しい宗教の受容に際しては、いつものことながら、殺人が行なわれる。それは、世界史全体に言える。

古い宗教を根絶やしにする。つまり、皆殺しにするのである。
それ程、宗教の持つ、狂気は、激しい。

そこで、元々の日本の、神ながらの道、との関係は、どのようなものになったのか。

ここで、当時、仏のことを、審神、となりのかみ、と呼んだことを加えておく。
隣の神という意識である。

それ以外に、何も知らないのである。
それ故に、日本の神々の祟りを怖れたのである。

「神ながら」と「仏教」との対立は、信仰内容についての対決などというものではなく、主としてこの「祟り」をめぐっての恐怖からの争いであったように思われる。それが政権争奪と露骨にむすびついて展開した。
亀井

つまり、蘇我馬子も、書紀では、その入信の様を、舎利の奇蹟と伝えている。

奇蹟とか現世利益とか、いづれにしても功利的な性格をつよく帯びた信仰であったらしい。
と、亀井も、書く。

仏教の教義や、教えなどというものではない。

そして、蘇我一族が、勝利してから、人々は、自然の異変に対しては、神々に祈り、病気については、仏に念ずるという、形に進んで行くのである。

仏教礼拝は、とくに病苦にむすびついていたようである。たとえば法隆寺建立の発願の動機は、用明天皇の病気であり、薬師寺建立の発願の動機も、天武帝皇后の病気である。
亀井

仏教の役割が、病に対するものになって行った過程がある。
それは、新式の加持祈祷から、薬博士、採薬師などを伴ったことによる。

新しい文化への、医学的信頼が芽生えた。
仏教が、その代わりになったと、言えるのである。

それは、当時としては、最大の魅力だった。
仏教というものが、浸透して行ったのは、まず病苦からの解放である。

奈良朝に至っても、同じことで、特に、薬というものが、信仰と結び付いたといえる。
そして、それと合わせての、加持祈祷である。

その意味で功利的だが、しかしいかなる信仰も、動機のなかにはこの種の功利性をふくむものだ。直接的な恐怖が存するからである。
亀井

それでは、神ながらの道、とは、曖昧であるが、区別があったといえる。

多くの自然災害では、神ながらの道、を。
病の時は、仏を念ずる。

以後、神仏混合が生まれる素地が出来上がる。

殺人があったとはいえ、大量殺人ではない。
氏族の争いである。
一般民衆が、犠牲になったということではないのが、幸運だった。

これが、西欧、中東などの場では、民族虐殺ということに、発展する。


posted by 天山 at 06:01| 国を愛して何が悪い3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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