2014年05月17日

国を愛して何が悪い132

最後の章は、第十七章、武士道の将来、である。

ヨーロッパの騎士道と日本の武士道との間におけるごとく適切なる歴史的比較をなしうるものは稀である。しかしてもし歴史が繰り返すものとすれば、後者の運命は必ずや前者の遭遇したるところを繰り返すであろう。サン・バレーの挙ぐる騎士道衰頽の特殊的原因は、もちろん日本の状態には適応せられない。しかしながら中世およびその後において騎士と騎士道とを覆すに与りて力ありたる、より大かつより一般的なる諸原因は、武士道の衰微に対しても確かに働きつつある。
新渡戸

武士道の衰退の道を言う。
衰退しているのか・・・
その当時も、その危機感があったということである。

武士道が衰退しても、その精神が受け継がれることは、あるのか。
それは、変容した形で・・・

ヨーロッパの経験と日本の経験との間における一の顕著なる差異は、ヨーロッパにありては騎士道は封建制度から乳離れしたる時、キリスト教会の養うところとなりて新たに寿命を延ばしたるに反し、日本においてはこれを養育するに足るほどの大宗教がなかったことである。
新渡戸

ここに、新渡戸の誤りがある。
確かに、一部、そのような状況があるかもしれないが・・・
違う。

宗教により、何事かを受け継ぐなどは、日本には無い。
それよりも、様々な武芸の道の中に、温存されている。

騎士道が無くなれば、無秩序と混乱が、野蛮な白人を野放図にする。
それを、キリスト教会が、辛うじて支えた。
現在も、キリスト教のお陰で、彼らは、自制を保つのである。

武士道の幼時においてこれを保育したりし神道は、それ自体すでに老いた。
新渡戸

上記も、誤りである。

それでは、現代のキリスト教は、老いていないのか・・・
老いているのである。

もろもろの機能および権威は陣を張って武士道に対抗する。ヴェブレンの説くがごとく、すでに「本来の産業的諸階級の間において儀礼的礼法の衰微せること、換言すれば生活の通俗化は、鋭敏なる感受性をもつすべての人々の眼に堯季文明の主なる害悪の一つと映ずるに至った」。勝ち誇れる平民主義の抵抗し難き潮流だけでも、武士道の遺残を呑むに足る力があった。けだし平民主義はいかなる形式もしくは形態のトラストをも許容しない。しかるに武士道は知識および教養の予備資本を独占する人々によりて組織せられ、道徳的諸性質の等級および価値を定むるトラストであった。現代の社会化諸勢力は区々たる階級精神に敵対する。
新渡戸

平民主義、デモクラシーである。
デモクラシーは、歴史の進化である。

その中で、武士道の行方を云々することなかれ、である。

勿論、新渡戸は、嘆いているのである。

しかるに騎士道は、フリーマンの鋭く批評せるごとく、一の階級精神である。現代社会はいやしくも何らかの統一を標榜する限り、「特権階級の利益のために工夫せられたる純粋に個人的なる義務」を容認するをえない。
新渡戸

これに、普通教育、産業技術、富ならびに、都会生活・・・
何処に、武士道の入る隙があるのか。
と、なる。

「彼らの熱烈なる行為を生みたる環境は永久に去った」
また武士道に移して適切であろう。

悲しいかな武士の徳! 悲しいかな武士の誇り! 鉦太鼓の響きをもって世に迎え入れられし道徳は、「将軍たち王たちの去る」とともに消え行かんとする運命にある。
新渡戸

人の中にある戦いの本能は普遍的かつ自然的であり、また高尚なる感情や男らしき特性を生むものであるとはいえ、それは人の全体を尽くすものではない。戦いの本能の下に、より神聖な本能が潜んでいる。すなわち愛である。
神道、孟子、および王陽明の明白にこれを教えたるは、吾人のすでに見たるところである。しかるに武士道その他すべて武的形態の倫理は、疑いも無く直接の実際的必要ある諸問題に没頭するあまり、往々右の事実に対し正当なる重さを置くを忘れた。
新渡戸

今日吾人の注意を要求しつつあるものは、武人の使命よりもさらに高くさらに広き使命である。
新渡戸

拡大する人生観、平民主義の発達、他国民他国家に関する知識・・・

孔子の仁、仏教の慈悲思想、キリスト教の愛・・・

人は臣民以上のものとなり、公民の地位まで発達した。
新渡戸

世界の歴史は「柔和する者は地を継がん」との預言を確証する。
キリストの預言である。

しかして産業主義の前線から後退して侵略主義の戦線に移る国民は、まったくつまらない取引をなすものだ!
新渡戸

つまり、新しい時代が来たのである。
そして、今、現在も、新しい時代が始まりつつあるということ。

勿論、武士の刀や、鎧などは、必要ない。
しかし、その精神は、生き続ける。
変容しつつ、生き続けるのである。

新渡戸の説を最後まで見ることにする。



posted by 天山 at 05:02| 国を愛して何が悪い3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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