2014年04月18日

国を愛して何が悪い126

第十四章は、婦人の教育および地位、である。

前置きの中に、
けだし女性の身体の美と繊細なる思想とは男性の粗雑なる心理能力の説明しえざるところだからである。
と、ある。

現在は・・・
男性を粗雑と見るか。
女性の粗雑さも、顕著である。

しかし、当時、新渡戸の説は、男尊女卑の有様は、無い。

しかるに武士道における女性の理想には神秘的なるところなく、その矛盾もただ外見的のみである。私はそれを勇婦的であると言ったが、それは真理の半面たるに過ぎない。
新渡戸

日本の妻の文字は、箒を立てる女を意味する。
英語の、ワイフは、織る人より、出て、娘は、乳絞りから出ている。

ドイツ皇帝は、婦人活動は、台所、教会、並びに、子どものありと、言われた。

武士道の女性の理想はこれら三者に限定することなく、著しく家庭的であった。この一見矛盾と思われる家庭的ならびに勇婦的特性は、武士道においては両立せざるものではない。
新渡戸

武士道は、元来、男のために設けられた教えである。
その婦人に関しては、遠くにあった。

ウィケルマン曰く、「ギリシャ芸術の最高の美は女性的であるよりもむしろ男性的である」と。レッキーはこれに付言して、このことはギリシャ人の道徳観念について見るも、芸術におけるがごとくに真であると言った。同様に武士道は、「女性の脆弱さより自己を解放して、最も強くかつ最も勇敢なる男子に値する剛毅不撓を発揮したる」婦人をば最も賞賛した。
新渡戸

つまり、感情を抑制し、その神経を強くし、武器などを持って、不慮の事変に際して、己が身を守ることを、訓練したのである。

女子がその武器をもって己が身の神聖を護りしことは、夫が主君の身を護りしがごとき熱心をもってした。彼女の武芸の家庭的用途は、・・・子供の教育においてであった。
新渡戸

その貞操が危険に瀕するを見る時、・・・彼女自身の武器が常に懐中にあった。自害の作法を知らざることは彼女の恥辱であった。
新渡戸

そこで、新渡戸は、キリスト教で、聖者と呼ばれる、女性たちの、その殉教の様と同じように説明する。

貞操観念は武士の婦人の主要の徳であって、生命以上にこれを重んじたのである。
新渡戸

貞操観念などとは、縁遠い現代では、理解し難いかも知れない。
武家社会が、起きてくると、それが、女性たちの生き方にも、大きく影響したということである。

封建時代に、それらは、確立された。

さて、実に面白い試みをしていると、感心する、新渡戸の、この章である。

男性的なることのみが我が国女性の最高理想であったとの観念を読者に与えることは公平ではない。大いにしからず!
芸事および優雅の生活が彼らに必要であった。音楽、舞踊、および文学が軽んぜられなかった。我が国文学上最も優れたる詩歌の若干は女性の感情の表現であった。じっさい婦人は日本の美文学史上重要なる役割を果たしたのである。
新渡戸

そして、それらは、技巧のため、芸術そのもののためではない。
その窮極の目的は、心を清めることにあり、心平らかならねば、音も整わずという、考え方だった。

青年の教育ついて、新渡戸は、芸道は常に道徳的価値に対し従たる地位に置かれたと、言う。
女子も、それと同一の観念が現れているのである。

音楽、舞踊は生活の優雅と明朗を付加するをもって足るとなし、決して虚栄奢侈を養うためでなかった。
新渡戸

つまり、武家、そして日本人の、芸事は、日常生活にあったということである。
生活が、芸術だったとも、言える。
これは、恐るべき、提言である。

芸術家ではなく、芸術が生活の中にある。
そして、それは、主として、家庭のためであるという、解説である。

勿論、現代は、そんな感覚は、皆無に等しい。
作法の心得さえ、教えられず、呆れるのは、挨拶までも、出来ない若者が多いという、事実である。

旧日本婦人の芸事の目的は、その武芸たると文事たるとを問わず、主として家庭のためであったと言いうる。
新渡戸

彼らは家の名誉と体面とを維持せんがために、辛苦労役し、生命を棄てた。
新渡戸

娘としては父のため、妻としては夫のために、母としては子のために、女子は己を犠牲にした。かくして幼少の時から彼女は自己否定を教えられた。
新渡戸

この、自己否定と聞くと、実に、反感を買うような説明であるが・・・
実際は、違う。

更に、
彼女の一生は独立の生涯ではなく、従属的奉仕の生涯であった。男子の助者として、彼女の存在が役立てば夫と共に舞台に立ち、もし夫の働きの邪魔になれば彼女は幕の後に退く。
新渡戸

女性の権利を訴える、ウーマンリブが、聞けば、怒り心頭になるであろう、話であるが・・・
まだ、続きが、ある。

新渡戸の最後までの、話を聞いてみるべきだ。
そのような、生き方を、希望する、女性もいるだろう。



posted by 天山 at 06:00| 国を愛して何が悪い3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。