2014年03月25日

性について244

性を本能として、疑わないという、社会通念が出来上がっている。

それは、食べることを、生命保存の本能と共に、性は、種族保存の本能と呼ばれている。

しかし、社会通念というより、私には、固定観念に思える。

神の子としての、人間が、本能に生きる動物と区別されていた時代は、ダーウィンの「種の起源」によって、終わったとされる。
その、進化論が、人間も、動物から進化したものであるとし、動物と別の種ではないことを、明確にした。

それ以後、人間の本能についての、研究が盛んになった。

その研究の第一人者といわれる、マクドゥーガルは、あらゆる社会行動を、本能という概念で、説明した。

それによると、逃走、拒否、好奇心、怒り、自己卑下、自己主張、両親愛の七つが、基本的本能であり、次に、重要な本能が、生殖、集合、取得、制作の四つであるという。

ここで、摂食が出て来ないことである。

しかし、上記にも、疑問がある。

その本能として、上げているものは、社会生活と関係なく、生まれつき持つ、衝動なのかということだ。

人間は、社会生活と関係なくして、人間であることは、不可能である。

マクドゥーガルの本能心理学は、その後、行動主義心理学の発達と共に、新しい欲求心理学へと、移行した。

1930年頃に、ロシアのハブロフが行なった実験により、条件反射という言葉により、人間の行動に、新しい分析を与える。

そして、それを、人間について、
われわれの生活は条件反射に満ち溢れている。それは、われわれの習慣や、教育や、すべての統制ある行動の基礎である。
と言う。

そして、社会心理学が発達すると、人間の行動が、学習と、条件付けによって、支配されるとする、考え方が生まれた。

更に、20世紀の文化人類学・・・
社会活動に関する本能の普遍性を否定する、考え方が占めるようになる。

現在、人間の欲求を、地球上のどこでも通用する、固定した、生得的な遺伝的本能として、考えなくなっているのである。

様々な、調査、研究の結果、性欲が、種族保存のための、生殖から、逸脱していることが、確認された。

子を産むことは、性的本能の自然の目的であり究極点ではあるが、それを性的衝動の内容の一部分と考えること、あるいは性的衝動の定義として少しでも役立てようとすることは、ぜんぜん承認しがたい。
エリス

動物の多くは、本能によって、行動し、性本能によって、種の保存を可能にする。生殖から逸脱した性行動は、観察されないのである。
そして、その行動は、発情期、繁殖期に限定されている。

人間だけが、動物の性本能とは、別になったのか・・・

今まで書いてきた、様々な、人類の進化の様子を、振り返って欲しい。

人間の性を考えることは、人間とは、何かを考えるのと、同じなのである。

人間が、他の動物と、違うところは、智恵や、道具、言葉を持ったことである。
つまり、大脳化である。

人間が、人類として、生存を可能にしたのは、他の動物のように、自然的存在であることを、止めたからである。
智恵、道具、言葉、そして、社会生活という、要素を生存の仕組みの中に、組み入れたからである。

それにより、動物とは、異質の存在になった。

そして、本能という、メカニズムも、それに代わる、智恵、道具、言葉、社会生活によって、捕らわれ、また、新しいそれらの要素によって、本能は、不要となった。
本能が不要になる・・・

ということは、人間は、人間として、作られてゆくということである。

長い時間をかけて、人間は、人間として、作られてゆくようになったのである。

児童心理学では、赤ん坊が、9ヶ月目には、認識能力を身に付けるようになる。そして、思春期になり、性を含む、様々な人間としての、認識を身に付けるのである。

それが、大脳化であり、大脳生理学によって、明らかにされた、新しい皮質によってである。

大脳には、身体機能を司る皮質があり、古い皮質と呼ばれる部分が、いわゆる本能を司る役割を果たす。
しかし、新しい皮質によって、古い皮質が、覆い隠された。

この新しい皮質によって、人間は、人間として、生きてゆくのである。

古い皮質は、新しい皮質によって、支配されるという、事実である。

つまり、本能の脳は、新しい皮質によって、制御され、あるいは、正される。

本能の場所は、新しい皮質に、明け渡したのである。
つまり、性、性欲という、ものは、本能とは、いえるが、それは、新しい皮質によって、如何様にも、利用出来る、統制されるものとなった。

その、新しい皮質は、精神を作る。
つまり、人間は、その精神によって、生かされるということなのだ。

もう、本能では、生きられないのである。

であるから、人間は、本能に支配されるのではなく、精神に支配されるようになったのである。



posted by 天山 at 05:38| 性について5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。