10時に行く予定にしていた。
広い大学構内を車が走り、クリフォードさんの部屋の前に着く。
すでに、三名の学生が待機していた。
私が送った荷物も、そのままで、置いていた。
私が行くまで、開けないという約束だった。
それから、仕分けが始まった。
男女別子供の衣類、男女別アダルトの衣類・・・
赤ちゃんのもの・・・
その他、毛布系、タオル系は、私が、一枚一枚、手渡すことにした。
部屋には、扇風機だけで、暑い。
汗を流しつつ、作業をする。
女の子が一人、名前は、アップルさん。私は、彼女の名前だけ、覚えたので、何でも、アップルと呼んで、お願いした。すると、二人の男子も、アップルを手伝う。
ようやく、仕分けが終わり、それぞれ、小袋に入れて、一時間以上過ぎた。
それから、現地に向う。
クリフォードさんが、バイクタクシーを呼んできた。
そこに、皆、乗り込む。
後ろの座席に三名、運転手の横に、一人ずつ。
どんな乗り方をしても、法律に触れないというのが、いい。
台風被害の、真ん中に向う。
二メートル以上の水が押し寄せて、流したという場所。
何も無くなっていた。
が、その付近に、皆さん、小屋を建てて、住む。
日の丸を掲げていたので、それを見た、子供たちが、即座に集まり、次に、女性たちが・・・
続々と、出て来た。
何も、予告していないはずなのに・・・
広い場所にバイクタクシーが止まり、荷物を下ろす。
その間に、クリフォードさんが、皆さんを二列に並ばせる。
支援物資が足りればいいが・・・と、思った。
それではと、私が、皆さんに向かい、日本からのプレゼントです、と大声で言った。
そして、アップルさんに、初めて下さいと合図する。
私は、ベビー用品を持って、赤ん坊を抱く女性を探して、渡す。
その間も、どんどんと、人が出て来た。
男たちも来た。
ただ、働きに出ているせいか、男たちは、少ない。
次第に、列が乱れる。
危ない状況である。
何度も、列を修正しつつ、手渡しする。
私は、ベビー物が終わり、毛布系を渡し始めた。
人が殺到する。
落ち着いてと、手で、人々を抑える。
だが・・・
混乱ぎみ。
そして、次に、バスタオル類である。
それも、殺到するので、静かにと、呼び掛ける。
お祭りのような、騒ぎである。
後半になると、列が無くなった。
てんでに、人々が、受け取りに来る。
最後の、フェイスタオルである。
もう、誰が誰か、解らない状況である。
だが、兎に角、渡し終えた。
人々は、まだ、その辺に、集う。
その中に、丸裸の男の子が・・・
あらっ・・・もう無い・・・
私は、バイクタクシーに積んでいた、着替え様の、テーシャツを二枚出して、男の子に着せた。
それで、足まで、隠れる。
すると、おじさいが、欲しいと言うので、もう一枚を差し上げる。
コータは、写真を撮るので、精一杯だつたと、言う。
クリフォードさんも、写真を撮っていたが・・・
私は、集まった皆様に、また、来ますと、言った。
もっと、プレゼントを持ってきます・・・
色々な人が、私に、ありがとう、と、言いに来た。
とても、丁寧な言葉で、感謝の言葉を言う人もいる。
クリフォードさんの、お母さん、奥さん、お姉さんも、やって来ていた。
それぞれ挨拶し、名前を言い合う。
クリフォードさんの家は、その上のあるという。
台風の際に、多くの人が、クリフォードさんの家に、逃げて来たという。
支援物資が、瞬く間に、無くなった。
もう、何も無い。
後は、笑顔だけ。
そして、さようなら、である。
皆さんに、ネクスト・タイム・スイユー・・・
あっという間の出来事。