2013年04月03日

天皇陛下について149

永禄11年、1568年、信長が、京都に入った。
大乱に継ぐ大乱の京都である。
市民は、信長の軍に脅えた。

しかし、軍規は厳正で、問題がない。
それにより、京都、畿内に平和が訪れた。

信長は、第十五代将軍足利義昭を、取るに足らぬ人物と見ていたが、流浪中の義昭を奉じて、入京したのである。
そして、義昭に色々と釘を差していた。
その与えた、五箇条の書に、
天下を平穏にすること。また禁中「朝廷」の儀、常々ご油断のないように
と、皇室を大切にせよと、注意している。

更に、五年後、義昭に、諫言十七を突きつけて、特にこの中でも、
入京当初から、朝廷のことは、疎かにせぬことと、申しておいたはずだ。それにも関わらず、忘れ怠っているとは、何事か
と、いうものがある。

中世の戦記物語には、
朝廷をないがしろにするものは、必ず神仏冥々の加護が尽きる、とある。

信長の、朝廷への忠義で第一なのは、敬神と朝儀再興である。

当時、伊勢の大神宮では、戦国の乱の余波を受け、20年に一度の、遷宮が廃絶状態になっていた。

永禄6年、1563年、慶光院清順の勧進による献金で、豊受大神宮の式年遷宮が130年振りに復興したが、皇大神宮、内宮の方は、そこに至っていないのである。

天正10年正月、神宮の神官たちが、信長に遷宮執行について、ご努力をと申し入れた。
信長は、即座に、快諾した。

使者に予算を尋ねる。
まず千貫もあればと、思います。足りない分は募金で・・・
すると、信長は、
一昨年、石清水八幡宮の造営を行った。初め、三百貫であったが、実際は、千貫以上もかかった。それを思うと、大神宮の造営が、千貫で足りるはずがない。百姓町人に負担をかけるのは、よくない。まず、三千貫の予算とし、不足分は、要しただけ追加すればよい。
との、答えである。

翌日、森蘭丸を岐阜城に派遣し、
土蔵に一万六千貫ほどあるはず。大神宮の正遷宮の費用じゃ。要求に従い、その中から、惜しみなく渡せと、信忠に伝えよ、である。

だが、その年、六月、信長は、本能寺の変にて、自害する。

その意志は、豊臣秀吉によって、継がれた。

天正13年、1585年、10月13日をもって、皇大神宮、同じく15日、豊受大神宮、外宮の式年遷宮が執り行われた。

皇大神宮は、132年、豊受大神宮は、22年の遷宮だった。
これが、第41回目である。
以後明治二年まで、20年ごとに、遷宮が行われた。

今年、平成25年は、遷宮の年である。

信長の再興貢献は、それ以外に、宮中への献金、献品、朝儀の再興、皇室御料地、公家領の回復、内裏の修理、皇室経済の安定についての、配慮など、これまでの武将にはないものだった。

これにより、朝廷も、窮乏状態を脱する。
そして、役割の上でも、変化がある。

その一つは、朝廷が信長の武力を支えたことである。
信長は、石山本願寺に手を焼いていた。それを、朝廷のお力を借りて、和議を結んだことである。

天皇の勅使が効いた。
一度、二度と、勅使が派遣され、二度目は、天皇のお手紙である。
これには、違反出来ない。

信長の、尊王・勤王が、正親町天皇を動かしたのである。

新しい公武合体の姿がある。
南北朝、室町時代にはない、潮流が流れ始めた。

だが、時代は、まだ安定していない。

天正10年、信長没後は、秀吉による、山崎の弔い合戦、翌年の賤嶽合戦、12年の小牧長久手の戦い・・・信長の天下統一計画を進める。

13年、四国の長宗我部氏を討ち、根来寺を焼き払う。
七百年の間、凶暴をたくましくした僧兵にも、最後の留めを刺した。

そして、同年七月、関白にのぼり、14年には、太政大臣に任ぜられた。
朝廷からは、豊臣の姓まで賜る。

その年、12月、正親町天皇は、第百七代後陽成天皇、ごようぜい天皇に御譲位され、上皇となる。

天皇の歴史を俯瞰していると、多くの天皇は、国民のために、祈り続けられている。
権力者たちは、国民のことに関心がない。
ただ、自分の領土と権力の維持を目指す。

どんな状況にあっても、変わらずに、国民のために、祈られる天皇、皇室の姿がある。

その姿勢を見抜いていたのは、民である。
皇室が経済上の困窮みに達しても、宮中の儀式が廃止されても・・・
天子さま、皇室は、国民の慕う的だった。

国民の敬愛の的。
現在も変わらず、天皇、皇室は、敬愛の的である。
そして、そうしてこそ、日本という国がある。
天皇の存在なくして、日本という国は、有り得ないのである。

それも、これも、国民の智恵による選択だったということである。
天皇を擁する国として、建国から2700年の伝統を有する、世界唯一の国、日本である。



posted by 天山 at 05:45| 天皇陛下について3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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