霊もしくは魂はすべて神の意志により、普遍的知性と呼ばれる霊的原理から生じた。だから霊には始まりがあり、おそらくは終わりもあるのであろう。しかし、この始まりと終わりはわれわれにとってはそれ自体ひとつの神秘である。霊的世界は自然世界に先立って存在した。両者はつねに作用を及ぼしあい、ともに人間のうちに入り込んではいるが、互いに独立している。霊は思考の瞬時性をそなえているが、それは厳密にいうと偏在ではない。霊が同時に何個所にも現れることがあっても、それは一種の放射によるものであり、あくまでもひとつの霊なのだ。
カステラン
およそ、霊に関する説明は、この上記の通りである。今、現在も、そのように説明される。
新興宗教などは、これを持って、霊の説明としている団体が多数ある。
霊のカテゴリーには、三つある。
不完全な霊
善良な霊
純粋な霊
霊は、平等ではない。最初は、平等に創造された。そして、単純、無知であった。あるものは、それ以来何一つ学ぶことなく、無知鈍重のままに留まり、物質を欲し、物質の魅惑に溺れる。
だが、遥かに、進んだ霊もいる。
心霊主義という、新しい啓示にとって、霊の序列は、重要な部分の一つであると、言う。
不完全な霊については、知性に対する物質の優位。悪に向かう性向。無知、傲慢、利己主義、嫉妬・・・それにまつわる、悪しき情念。
神を直感しているが、全く理解していない。
彼らは、幸福ではない。それは、死によって、失った地上の悦びの光景と、自分たちには許されない、善良な霊の幸福が、責苦となるからである。
彼らの、進歩は遅々としているゆえに、いつまでも、苦しい思いを続ける。これが、永遠の地獄という信仰の起源である。
彼らには、五つの段階がある。
不浄「悪辣」な霊、軽薄な霊、知ったかぶりの霊、ニュートラル「物質に執着したまま」の霊、おべっかで混乱をもたらす霊。これらは、すべて下級の霊であり、古代神話で、デーモン、悪しき天使、悪霊となっている。
善良な霊は、物質に対する精神の優位、善意への欲求。
まだ完全に非物質化していないので、それぞれの地位に従い、大なり小なり、思考習慣のうちに、肉体生活の痕跡をとどめている。
彼らは、神と無限を理解し、すでに善良なる者の至福を味わう。
善をなし、悪を防止したことによって、幸福を感じている。
彼らを結びつける愛情は、彼らにとって、筆舌に尽くし難い悦びで、不完全な霊を苦しめる、嫉妬、後悔などの悪しき情念は、損なわれることがない。
ただし、絶対的完成に到達し、前世の行為の結果を消し去るまでには、試練を経なければならない。
霊としての彼らは、良い考えを助長し、人間を悪の道から遠ざける。
これは、様々な宗教の、善霊、守護霊、守護天使と呼ばれる者である。
彼らには、四つの階級がある。
善意の霊「善意」、物知りの霊「知性」、賢者の霊、そして、知識と叡智と善意を持つ、上級霊である。
上級霊は、めったに、受肉せず、常に進歩を促す使命を持つ。
ここでは、イエス、仏陀などと、上げている。
次に、純粋な霊である。
物質の影響は、皆無。他の霊に比べて、知性・道徳の面で、絶対的に卓越している。
ここでは、天使、大天使・・・などと、キリスト教の概念で上げている。
受肉による試練、物質中の通過、託された使命、これらだけが、霊、人間を、教化啓蒙し、序列の階級を上がらせることができる。
魂の試練と教育は、耐え忍んだ試練と共に増大し、退行することは、ありえない。
ここで、魂は、最初から、天使、悪霊として、創造されたのではなく、皆、同じところから、創造されたということである。
来世において、霊たちは、共同で暮らす。
上級霊の世界、軽率な霊の世界というものは、無い。
ただ、親和性において、自然にグループを作り、霊的家族を形成する。
地上と違い、何一つ隠すことも、装うこともできないゆえに、親和性は、誤ることがない。
序列を上がれば、同じカテゴリーの霊に対する相互愛は、増大する。
下のクラスの霊では、地上で互いに仕掛けた悪計のため、敬遠しあう。
下級霊は、上級霊に従属し、命令と、使命を受け取る。
霊同士の交信は、思考伝達による。
霊の生活は、定まりがない。
肉体を離脱した人間は、霊としての階級が何であれ、基本的に彷徨する。その間に、学び、自分の度合いを知り、あちこちで、使命を果たす。
過去、現在、未来は、霊にとって、唯一つの時、現在である。
すべての霊が、自分の運命、他者の運命を知るわけではない。
霊たちは、道徳感覚を備えている。ただし、とりわけ下級霊の場合は、その道徳感覚を地上での古い知覚の思い出と結びつけて考えることがある。
ヒエラルキーの上から下までの、霊たちが従事する使命は、宇宙の調和に協力することである。
上級霊が考え、この調和を統括する。
その後、任務が細分化し、重要性が、現象する。
下級霊は、理解せずに、従うことも多い。
使命は、彷徨状態でも、受肉状態でも、果たすことができる。
親となることなどは、特別の使命と見なされている。
受肉は、霊を進化させる宇宙調和計画の一部である。
地上において、人間を直接的に進化させる使命を持つ霊は、稀である。
任務を来世で果たす場合、生者が気づかないうちに、思考伝達によって、霊感を与えたり、地上生活の有益な変容を促すような、偶然や大事件を用意する。
以上が、心霊主義の霊に対する、考え方である。
それらは、すべて、霊媒による、霊からの情報をまとめたものである。
キリスト教の観念の強いものと思うが、イエスも、仏陀も、善霊の一つだと、捉える。