2013年01月20日

天皇陛下について140

花園天皇の、誡太子書は、全編が洗練された、漢文である。
その文字は、一千四百八十九字である。

その書を要約したものを、掲げる。

天は多くの人を生じさせ、君主を立てて、これらの人々を治めさせるという。
目的は、民の利益である。
従って、才能がなければ、天皇の位にいることは、できない。
しかも、おそれ慎みのこと。
さて、皇太子は、宮中にて、女官の手で育てられた。
ゆえに、国民の色々な苦心を知らぬ。
美しい着物も、どうして出来たのか、食物も、農民の耕作の苦労があるのを、ご存知あるまい。
国のために、かつて少しの功もなく、国民に対して、少しばかりの恵みも与えたことがない。ただ、先祖、歴代のおかげで、将来、天子の位に就かれようとしている。
徳もなく、高い地位にあり、何の功もなく、国民の間に臨むというのでは、自身が恥ずかしくないか。

よくへつらったり、愚かな人が言う、わが朝は、後胤一統。外国が徳のあるなしで代わり、力で争うのとは違う。徳なく、隣国が狙うという危険もなく、政治が乱れても、易姓革命もない。これらは、ご先祖の神々の助けによることで、どうにか、先代の余風を受け継げる。ということで、悪くなければ、良主である、と。
これには、無知な者は、頷くが、誤りである。

ことのあらわれるのは、そのあらわれる前より、しかるべき理由が存する。・・・

薄徳なのに、神器を保とうとしても、道理が許さない。
そういうことでは、実に危うい。
わが国が、異姓が皇位を窺うということがなくても、天子の位の延びると、縮まるとは、多く、この理由による。
ましてや、今日は、人々が凶悪の一語に尽きる。
こうなると、才知兼ね備なわる、穏やかな時、険しい時、二つを経験し、あらゆる世間の辛酸をなめたものではないと、この乱世を治めてゆくことは、出来ない。

今日は、大乱となってはいないが、乱勢は兆して久しい。
それは、一朝一夕のことではない。
だから、聖主があれば、未然に済ませえる。
だが、それを欠くと、数年の後には、起こるだろう。
そしてそれは、数年に渡る。
そこで考える。近代の君主は、未だその時に、会っていないが、おそらく皇太子が位に上られる頃が、その衰乱の時に当たるのではないか。・・・

乱国の時世、それは内に哲明の叡聡、外には、神策をめぐらすこと。それには、学問が必要である。
そのために、寸陰を惜しまれよ。その学問の要点は、未発に先を知り、時運を察し、古よりの教訓を、よく生かすことである。
また、学問は、宇多天皇の「寛平遺誡」にあるように、雑文などは、末の末、その本源を極めることである。

私は、性拙く、智未だ浅い。
だが、学びかつ、徳を積み、王道を興そうと努めている。
これは、ただ、ご先祖の祀りを絶やさないようにという、一念からである。
皇太子よ、徳を積まれよ。
今こそ、それが、もっとも大切な時である。

罪、ということは、色々とある。
だが、一番の不孝の罪より、重いものはない。

特に、先祖のお祀りを絶やすなどは、不孝の最も大きなものというべきである。
以上

この花園天皇は、北朝の帝であり、その後の、後醍醐天皇は、南朝の帝である。
しかし、共に、後嵯峨天皇からの系統である。

だが、その後、南北朝は、試行錯誤を繰り返してゆく。
これは、不幸なことである。

武家政権が関わり、その関係を乱してゆく。

皇位継承の問題は、朝廷のみにて、行うべきである。

天皇も、人の子である。
つまり、人間である。過ちも犯す。

それでは、次に、後醍醐天皇である。
1318年より、1339年。

後醍醐天皇は、資質英邁であり、剛毅厳明の帝として、聞こえた御方である。

そこには、厚い情愛の心が満ちていた。

世治まり 民安かれと 祈るこそ 我が身につきぬ 思なりけり

急ぐなる 秋のきぬたの 音にこそ 夜さむの民の 心をもしれ

ご即位三年後、酷い日照りで作物が、皆、枯れた。
民は飢饉に苦しみ、死屍累々と野に横たわる。

天皇は、私が不徳ならば、天は私一人を罰するがいい。多くの国民が何の咎があって、こんな災いを受けなければならぬのか・・・
との、悲しみである。

更に、朝食を止めて、飢えた人々の救済に当たられた。

都の富豪で暴利を貪るものを探せ、そして、その蓄えた米を安く売らせよ・・・
と、命じる。

更に、五条河原に救い小屋を建てる。
自分は、三度の食事を二度にする。

民のため 時ある雨を 祈るとも しらでや田子の 早苗とるらむ

元寇という、国難の後である。
そのため、防備を三十余年も緩めずにいたのである。

幕府も、その台所が苦しいのである。

そして、いよいよ、倒幕へと時代は進む。



posted by 天山 at 00:10| 天皇陛下について3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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