2012年12月27日

神仏は妄想である。396

さて、死後の世界のことは、死ねば解る。
と、言えば、それを言っちゃあ、おしまいよ・・・なのである。

国学者、平田篤胤。
江戸、文政年間である。

平田篤胤以前は、死後の世界などは、仏教が負った。
国学、神道では、何らかの観念を持つことを、抑制されていた。

死後の世界は、極楽か地獄である。
そして、それぞれの宗派が、それぞれ方法で、極楽に行くべき方法を提示していた。それを、信じるしか道は無い。

勿論、そんなことを信じる必要も無い人たちもいただろう。
今も、いる。

篤胤の書いた、霊能真柱、たまのみはしら、という書物から見ると、神の道を学ぶためには、大和心を固めて、死後の霊魂の行くべき所を、明らかにするというものである。

この世は、天照大御神の子孫である天皇が、あの世では、幽冥界というが、スサノオノミコトの子孫である、オオクニヌシミコトが主宰する、理を明らかにし、仏教の言う、極楽、地獄でも、本居宣長の言う、黄泉の国でもなく、大国主神の支配する幽冥界に行き、そこで審判を受けて、現世の縁者を守護しつつ、鎮まってゆくと言う。

この世は、天皇が支配し、あの世は、出雲系の神々による支配というのである。

こうして、作られると、それなりに、教義になるのである。

実は、篤胤には、この頃に登場した、天狗小僧、寅吉という透視能力を発揮した、超能力少年の存在があった。

少年は、東叡山、現在の上野公園麓の、五条天神の境内で、謎の薬売りの老人に逢い、常陸の国南台の仙境に出入りするようになる。

それ以後、寅吉と異界とのコンタクトが間断なく続き、岩間山の杉山僧正という山人を師として修行し、様々な呪術を用いたいという。

篤胤は、この少年を家に引き取り、異境の話を記録して、仙境異聞、せんきょういぶん、という、本にまとめた。

異境、つまり、死後の世界である。
あるいは、霊の世界・・・

後に、矢張り、生身のままに、異境と現界を行き来した、宮地水位という人も現れるが・・・

兎も角、平田篤胤は、近代において、古神道を定位したと言われる。
定位したが、それは、篤胤の勝手な言い分であり、その根拠は、霊界を覗き見たからか・・・

最初に勝手なことを言う人に、適わないのである。

更に、霊の行方を解くため、古事記の神代の巻きから、宇宙論的解釈を大上段に行ったという。
それは、日本が万国の中心であるというものである。

これでは、行き過ぎである。
皆々、自分の国を世界の中心と考えるだろう。

韓国人は、何の根拠もないが、すべての文明のはじまりだと言うのと同じである。

霊的に、日本は、他の国とは違う、で、いい。

だから、後に、篤胤の思想、考え方を取り入れて、とんでもない意見を持つ人も現れるのである。

先の、寅吉少年の世界は、この世でもなく、死後の世界でも無いとの認識を示したことは、正しいが。
この世と、重なり合う、異境なのである。

幽冥界の支配が、オオクニヌシのミコトによるもの、というまでは、何とか、理解できるが・・・
それは、表の高天原と、裏の黄泉の国との対比であるから。

一番の、誤りは、道教に嵌ったことである。
その後の篤胤は、道教の思想を基にして、玄学、げんがく、つまり、神仙道が、古神道の秘教的核心に位置づけられたのである。

ここが、宮地水位の宮地神仙道と同じく、誤りである。

文政五年、篤胤は、毎朝神拝詞を改定し、礼拝の対象に、日々高津根王命、と、天駆り国駆る諸々のシナ日本の山人、という言葉を加えるのである。

日々高津根王命とは、寅吉少年を指導した、杉山僧正の神名であり、山人=仙人である。

寅吉の異境が、道教の神仙界のイメージに重ねられたのである。

これでは、元も子もない。
結局、道教に飲みこまれるのである。

更に、篤胤は、神代文字にも関わる。
漢字渡来以前の、古代日本にあった文字である。

それは、神字日文伝で、対馬の阿比留家などに伝わる、ハングル類似の文字、および、その草書体を、日文と命名し、これを真正の神字とした。

ただ、篤胤が起こした復古神道は、歴史的に、幕末の外圧によるナショナリズムを高揚させ、明治維新を推進するイデオロギーとして大きな影響を与えた。

何故、神仙という言葉になるのか・・・
私には、理解できないのである。

仙人の世界は、道教のものである。
更に、仙人の世界は、霊界ではない。
あくまで、異境である。

霊界から見れば、幽界に当る。
ところが、幽界と、幽冥界が、同じように受け取られる危険がある。

神仙界とは、化け物の世界である。

道教の神仙界からは、多くの宗教の教組が生まれている。
というか、関わっている。




posted by 天山 at 06:04| 神仏は妄想である。第8弾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。