2012年04月28日

性について。199

性同一性障害を見る前に、もう一度、性の基本を見ることにする。

オスに対するメス、メスに対するオス、といったように、世の中の性別は二極性に分類されることが多い。ほんとうは、オスとメスの間に無数の移行形が存在し、100パーセントのオスもメスも存在しない、などといったら卒倒しかねない人の方が多いだろう。
と、こういうのは、
オスはどうして男になったか、の、大島清氏である。

胎児にはじまり、成熟するまでに、オスとメスに分れる、性の分岐点が、いくつも、存在するために、遺伝的なメス・オスと、外れた性が、出来上がるのである。

何故、オスとメスと、分れるのか。
ゾウリムシ、ゴカイなどの、下等動物に限られた、無性生殖というものがある。
だが、その方法では、親の単なる、分身とか、コピーが出来るにすぎない。
親と、そっくりで、すぐに大人になるが、精々、一つの限られた環境にしか、適応できないのである。

また、魚類、両棲類、爬虫類といった、下等動物には、雌雄同体の、様々な、形態が見られるのである。

下等な動物ほど、容易に性転換する。

魚の、ある種には、群れのなかに、オス一匹しかいないが、オスが死ぬと、メスの最も強いものが、オスになる。

成長の過程で、はじめは、メスなのに、長じて、オスになるという、時間的雌雄同体のものもいる。

生物が、進化するというのは、繁殖に成功することである。
繁殖に成功するというのは、進化に、環境が変動しても、それに耐え得る、強くて、優秀な子孫を作ってゆくということだ。

変化のない、親のコピーでは、繁殖の成功とは言えないのである。

繁殖の成功と、進化とは、メスの個体と、オスの個体の行う、有性生殖であり、それは、遺伝的素養が、様々に混じり合わさり、変異のある、個体が作られる。
更に、すぐに、大人にならず、卵から、幼生、成熟に至るまで、長い時間がかかる。
その間に、厳しい淘汰を受けて、良い形質のものだけが、生き残る。更に、絶え間なく変貌する、環境にも、適応できる、子孫を増やすということである。

有性生殖には、三つの大きな目的がある。
疲れてきた細胞を若返らせる。
多数の子孫を残す。
親と少し違った性質の子孫を残す。

生物には、また、遺伝子には、自分の生き方を、守り、続けようとする、本能がある。
そのために、自分と同じ個体を作り、自分の生き方を、継続させる。その最良の方法が、有性生殖である。

人間の場合の、有性生殖というのは、セックス、性行為のことである。

以前にも、書いたが・・・

有性生殖のオスは、生命のはじめに、Y染色体がなくてはならない。
だが、Yだけでは、オスという、生命体にはなれない。
生命体になるには、X染色体が、不可欠なのである。

逆に、メスの方は、Yがなくても、生きていける。

以前、出来損ないの男たち・・・で、書いた通り。

メスの染色体構成は、XX型だが、ターナー症候群と呼ばれる、染色体異常でも、X染色体が一つで、Yがなくても、生きてゆける。

Y染色体は、短く、その上に、染色体に載っている遺伝子は、精巣を決める以外は、数えるほどしかない。
X染色体は、大きく、全遺伝物資の5はーセントを含み、多くの遺伝子には、細胞の生命維持に不可欠な、酵素、たんぱく質を決定する、重要な使命がある。

この、酵素と、たんぱく質は、オス・メスという、性別を越えて必要である。
だから、X染色体は、不可欠なのである。

オスの脆弱性はこういった生命のはじまりから影を落としているといえよう。
大島清

性分化についても、Y染色体の果たす役割は、限られている。
しかし、哺乳類は、メスが基本の性だから、オスであるためには、Y染色体が、はじめに必要なのである。

その、Yの、唯一つの役割は、新しい生命の未分化な性腺が、そのままでは卵巣になるところを、抑制して、精巣を形成するように、働きかけることである。

人間の場合、妊娠8週になると、未分化だった、胎児の性腺の細胞膜は、Y染色体のタンパクに存在する、精巣決定因子と結合して、性腺を精巣分化へと、方向づけるのである。

精巣から、男性ホルモンが、分泌されて、胎児をオス化してゆくのである。

ところが、からだを構成する、全細胞の細胞質の中には、男性ホルモンを受容する蛋白があり、この蛋白が、X染色体のTfm遺伝子座にある、遺伝子により、特別に活性化されるので、X染色体は、性分化に対しても、重要な働きをする。

Tfm遺伝子とは、細胞の核の中の、液性部分に存在して、男性ホルモンの受容体を合成する作用を持つものである。

この、Tfm遺伝子が、変異を受けたりすると、たとえY染色体が、精巣をつくり、男性ホルモンの産出を続けても、からだの性徴は、女性的である。

更に、問題なのは、脳の、性分化である。

時間的には、やや遅れて、脳の性分化が、はじまるが、それ以前に、新しい生命には、遺伝子の性という、最初の分岐点で、いくつかの壁があり、オスへの道が、容易ではないことが、解るのである。

この、脳の性分化が、現代の性同一性に、大きな関わりがあると、思う。
そして、それは、進化なのか・・・

とすると、また、性同一性障害を書く前に、脳のことに触れなければならないのである。
つまり、終わらない話になる可能性大、である。
とんでもないところに、書き進めたものである。



posted by 天山 at 05:01| 性について5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。