2011年08月29日

霊学35

しばしば現代社会は価値観が多様化し、イデオロギー不在の時代といわれます。不確実性の時代とも呼ばれるように、これだけは間違いなく確かなことだとだれもが確信できるような何かを見出すことはむずかしい。しかし、お互いにはっきり言葉にして、理論づけていないにせよ、暗黙のうちにだれもが認めているものに個々人の自己愛を尊重すると言う思想があります。
小此木

上記のことは、日本の社会、日本人のことである。
世界的な、状態ではない。

唯一絶対神を、奉じる、ユダヤ、キリスト、イスラム教の社会は、違う。
更に、仏教国である。特に、上座部仏教の国である。

つまり、現代はそれぞれの自己愛を大切にすることだけは、どこからも反対意見の出ない確かな価値観になっている時代なのです。
小此木

つまり、誰もが、同じ人間であり、平等であるという、幻想である。

日本には、自己愛主義、ナルシシズム、という、価値観を持ったというのである。

小此木氏の、この本は、1981年に出版されている。
それから、30年を経る。

要するに、自己愛は、人類が、精神に目覚めてから、当然の如くにあったもので、その自己愛の形相が、時代によって、変化、変容しているのだということ。

今も、また、自己愛に関して、変化、変容している、様を書き付けなければ、ならないのだろう。

当時の、小此木氏の、見た、自己愛は、
自己愛人間とは、アイデンティティをもたないパーソナルな自己愛をひたすらみたすことで暮らす人間のことをいうのです。
小此木

と、いうことになる。

そうしたパーソナルな自己愛を超えた、お互いに共通の理想、同じ主義、主張の下に、社会化され脱個人化されたアイデンティティ感覚が失われたために、すべてを、パーソナルな自己愛のためのものとしか受け取らない時代になってしまったのです。
小此木

これは、当時の、日本人の、精神分析である。

それでは、問題は、どこにあるのか・・・

アイデンティティとは、自己愛が、つねに、社会、歴史などという、外の世界との、関わりの中で、決定されてゆくものと、ある。

アイデンティティとしての自己愛は、社会、文化と結びつく現実の裏づけをもつもの。それは、個人的な主観的幻想や、観念によるものではないという。

パーソナルな自己愛とは、リアリティに欠ける、自己愛ということになる。

そのような、アイデンティティを失ったなら、たとえ、生きていても、心は本当に、生きていない状態になると言う、学者もいる。

確かに、私が、出掛けた、オーストラリア、原住民である、アボリジニは、政府の援助により、生活するが、その民族のアイデンティティを失い、いや、失わされて、ただ、生存しているだけの、存在になっていた。
それは、悲劇的だった。

そこまでに、しておいて、次は、保護であり、キリスト教のボランティア活動である。
どこまでも、優越主義から、抜けない、その様は、悲劇を通り越し、喜劇であった。

アボリジニの、若者たち・・・
彼らは、その生まれを知り、その生き方の停止を知る。
その顔、体全体に、恐ろしい倦怠感を漂わせていた。

アイデンティティを失うとは、これほどの、悲劇なのか・・・

現代の、産業化社会が、進む中で、それぞれの、民族、部族の持っていた、アイデンティティが、すなわち、歴史的、社会的な自己愛が、次第に、抹殺されてゆくのである。

敗戦後の、日本人と、高度経済成長期の日本人と、そして、その後の、日本人との差は大きい。
小此木氏は、高度経済成長期の日本人の、精神を分析したのである。

その後、バブル崩壊し、更に、経済低迷と、大震災が、襲い、さあ、どんな日本人が、現れてきたのか・・・

エリクソンという、学者が、産業社会の中で、民族的な自己愛を抹殺されて、そのときどきの、裸の自己愛の追求と、目の前の欲望の満足だけに走ってしまった人たちが、大量に生み出されているということを、憂えている、と、紹介する。

だが、日本人は、そうではない。
少なくとも、日本人は、アイデンティティを失わずに、済んだはずである。
その影が、薄くなろうと、全く失ったという、状態ではない。

だが、小此木氏は、
開発途上国の人々の文化ショックによる悲惨と同じことが、われわれ先進諸国に暮らす人々にも少なくとも社会心理の面では潜在的に起こっているのではないか。
と、言う。

起こっているのではないか、ではない。
起こって当然である。
それが、進化であるか、退化であるかは、別にして、時代が、進めば、人間の精神も、変化、変容する。

私は、進化だと、思っている。

良い悪いの、問題ではない。
当然、起こるべきものである。

心理学は、分析し、分類し、統計として、掲げることが、仕事である。
小此木氏も、精神科医である。
その、分析を元に、まだ、考えることが、多々ある。




posted by 天山 at 13:34| 霊学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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