カレン族は、多くの種族がある。
中でも、白カレンと、赤カレンに、分けられる。
赤カレンは、ミャンマーに多く在住するが、軍政によって、抑圧、差別を受けて、タイ側に、非難している。要するに、難民である。
白カレンは、100年以上前に、タイに入国して、その山岳地帯に住みついた。
トゥンルアン村の、カレン族は、白カレンである。
ミャンマーの、赤カレン族は、軍政と戦った。
白カレンは、戦いを、好まずに、そこから、去ったのである。
小西さんの、奥様の実家に、到着した。
小西さんは、奥さんの家に入ったことになる。
つまり、カレン族は、母系なのである。
お母様が、出迎えてくれた。
二年前と、変わらず、お元気である。
言葉は、解らないが、懐かしく、笑顔で、挨拶した。
タイ語ではなく、カレン語であるから、小西さんも、話せないという。
ただ、ある程度の年齢から、タイ語が話せる。
学校教育が、タイ語だからだ。
高床式の、建物が、一般的である。
私は、即座に、黒ブタを見るために、家の裏に回った。
ブタ小屋が、新しくなり、更に、一頭増えていた。
その、一頭は、家の前の、米倉の前に、縄で、縛られて、飼われていた。
全部で、三頭である。
このブタは、娘の結婚式に、使用される。
お祝いの、ご馳走になるのだ。
奥様の、妹さんが、結婚する時に、どれか、一頭が、犠牲になるという。
さて、辻さんと、千葉君である。
初めて訪れた、少数民族の村であるから、感激ひとしおである。
見るもの、すべてが、珍しい。
辻さんは、私の話から、もっと、大変なところだと、想像していたようであるが、意外に、すんなり、解け込んでいる。
千葉君は、早速、写真を撮りまくっている。
縄文時代を思わせる、有様である。
文明の利器は、電気のみである。
兎に角、自然に圧倒される。
自然の気に、倒される思いがする。
奥様の、お父様も、いらした。
日本語で、
お元気ですか・・・
あちらも、あちらの言葉で、話す。
違和感が無い。
小西さんの、お嬢さんは、すでに、芋虫の唐揚げを、食べている。
それを、差し出されるが、抵抗がありすぎる。
三歳のお嬢さんは、抵抗なく、何でも、食べる。
千葉君が、一匹食べて、芋のようだと、言う。が、一匹だけである。
少し、休憩して、小西さんと、奥様が、私たちを連れて、村を案内することになった。
村人は、おおよそ、300人である。
すべての人が、顔見知りである。
のんびりと、歩いて、村の家を見る。
新しい家が、出来ていた。
高床式ではない。普通に建てたものである。
こうして、少しずつ、変化してゆくのだろうか。
更に、車を持つ家も、多くなった。
私の見た範囲である。
大きな、水槽の前に出た。
さて、と、小西さんが、これは、なんでしょうかと、質問する。
私と、コータは、知っている。
二年前に、私が、一発で、それを、当てた。
辻さんが、挑戦するが、外れる。
千葉君は、私の話を覚えていた。
天気予報の、水槽である。
更に、続けて、一軒の家の前に、干してあるもの、である。
これには、頭をひねった。
解らない。
煎餅のようなものである。
何と、納豆だというから、驚いた。
それを、料理の時に入れたり、水に溶かして、ご飯を食べるという。
後で、溶かしたものの、匂いを嗅いで、いくらなんでも、この、腐りかけのものが好きな、私でも、駄目だと、思った。
だが、スープに入れあるのを知らず、美味しいというと、あの納豆が、入っていると、聞いて驚いた。
コクが、出るのだ。
さて、奥さんが、カレン族の、織物をしている人の家に、案内してくれた。
肩掛けバッグを作る人である。
カレン族の、人たちは、皆、カレンの衣装を着る。それは、皆、手織りである。特に女性たちは、その織物を着ていることが、多い。男たちは、町に出るので、着ることが、少ない。
手織りの、肩掛けバッグは、とても、温かみがあり、丈夫に作られていた。
小西さんが、私たち、一人一人に、プレゼントしてくれるという。
それは、有難く、頂いたが、今、コータが、民族の作り物を、テラの会の、資金にするため、集めている。
そこで、少し、それを買うことにした。
だが、作る量が限られていて、数が少ない。
すると、奥様が、もう一軒の家もあると、案内してくれた。
そこで、日本でも、使えるバッグをと、五六個買った。
すでに、闇が降りている。
急速に、夜になるのだ。
そして、風が、涼しい。
夜風が、心地よい。
最後に、奥様の、おじいさんと、おばあさんの、家に行く。
二人は、元気で暮らしていた。
解らない言葉で、互いに、挨拶する。
とても、歓迎している、様子。
囲炉裏の火が、懐かしい。
そこで、おじいさんが、辻さんに、とこで、あんたは、男かいと、尋ねた。一同びっくり。
髪の長いのは、女だが・・・という、思い。ということは、私は、女になっている可能性がある。
皆、大笑いになった。
家に戻り、いよいよ、夕食である。
小西さんは、修行のために、酒を止めたが、私たちのために、カレン族の、酒を用意してくれた。最初は、小西さんが飲まなければ、私も、飲まないと言っていたのだが、注がれると、つい、口をつけてしまった。
そして、私は、酒を飲み続けることになる。