2010年01月18日

ジャカルタ・スマトラ島・パダンへ 18

夜である。
日系三世の、あの、青年が、また、ホテルにいた。
暫し、歓談する。

彼は、少し、占いめいたことを、した。それは、私たちの気を引き付けるための、ものだった。
彼は、亡くなった、おばあさんが、付いていて、色々と、教えてくれるという。
私たちの、体の、悪いところを、指摘した。

私は、長年、占いをしていたので、彼の手の内は、見えていたが、黙って聞いていた。

私が、先に、部屋に戻った。
しかし、コータが、中々、戻らないのである。

一時間ほどして、コータが、戻った。

その話の、顛末である。

彼は、私が、いなくなると、コータに、切り出した。
君は、イスラムの男の、ペニスを見たことがあるかと、言う。
コータは、バリ島で、見たと、言った。
すると、彼は、イスラムの男のペニスも、色々ある。君は、それを、見たくないかと言う。コータは、曖昧に返事をした。

彼が、どうして、そんなことを、急に言うのか、解らないのである。
だが、彼の目的が、解った。

色々と、話をしていると、彼は、コータに、君は、僕を買う気はないのかと、言った。
要するに、売り込みである。
実に、あはれ、なことである。

コータに、男と女、どちらが好きかと、聞いた。
コータは、その場を、切り抜けるために、レディーボーイが好きだと、言った。
地震の前は、レディボーイも、いたが、今は、女の売春宿だけしかないと言う。

そして、再度、僕を買う気は、ないかと、聞いた。
コータは、矢張り、レディボーイでなければと言った。

その間に、色々な話があるが、結論は、買ってくれということだった。

コータは、部屋に戻り、選定ミスだと、言う。
彼は、私に、それを言うべきだったと。
そうすれば、買わないまでも、私なら、10万、20万ルピアを彼に、渡したはずと、言う。
確かに、私は、彼に、お金を渡したいと、思っていた。その、理由は、占い料として、である。
だが、彼は、コータを、口説いたので、失敗した

三人の、兄弟を抱えて、生活するのは、大変である。
実に、悲しい話であるが、最後は、体を売ることを、考える。
きっと、サーファーの中には、ゲイもいて、彼を、セックスのために、買う者もいたのだろう。
今回の、イギリス人は、ゲイではなかった。

それで、コータに、挑戦したのだ。

パダンの、海には、無人島が、沢山ある。
そこで、サーフィンをする。
二人であり、ゲイの客であれば、当然、そういうことも、あり得る。
それで、収入が、増えるのである。

貧しい国の、女たちは、体を売る。
それが、一番早い、稼ぎである。
そして、男も、それが出来れば、そうしたい。

私は、コータの話を聞きつつ、実に、あはれ、な、気分を抱いた。
私を、口説けば、私は、きっと、彼に、買ったつもりで、お金を、渡した。
日本語の歌を歌うほど、日本を恋しいと、思うのである。

これは、不可抗力である。
誰も、それには、逆らえない。
別名、運命である。宿命である。

私も、コータも、実に、気分の悪い、時間を過ごした。
貧しさは、罪ではない。しかし、貧しさゆえに、自らを、貶める行為を、しなければならないという、こと、それに、同情ではなく、悲哀を、感じる。

彼の、幸せを、祈る。

最後の、一日は、ゆっくりと過ごした。
すべてを、終えて、安堵した、心持で、何か書き付けたくなる。
しかし、インターネット喫茶は、日本語が、出来ない。
本も無く、書き付けることも出来ない。

最後の日は、ホテルの中を、行ったり来たりしつつ、昼の食事は、地元の、食堂で、した。
二人で、200円にも、ならない。

水も、高いが、50円である。
もう、10円、20円の差を、考えずに、5000ルピアの水を買う。

フロントの、女の子に、明日の、飛行機の時間を、言って、タクシーを頼む。
すると、ホテルの車を利用すると、その時間まで、部屋を利用出来るという。

ホテルの、車は、空港まで、12万ルピアである。
私は、それに、決めた。

ジャカルタの空港で、夜を過ごし、朝の便で、日本へ向かう。

国内線から、国際線の乗り場に、向かい、そこで、朝まで、過ごした。
日本人なら、トランジットのホテルを利用するようだが、私たちは、空港の、ベンチにいた。

何度も、ホテルを教えてくれた人がいる。
私は、すでに、ホテルを知っていた。その値段も、知っていた。
六時間程度で、一万円ほども払ってられない。

そこで、深夜働く人々を、見ていた。

深夜の、空港は、何も、危険なことはなかった。

そして、香港へ向かい、台北で、乗り換え、日本に、到着した。
その間、12時間ほどである。

体重が、二キロ増えた。
つまり、三回、機内で、食事をしたからである。

書き足りないことは、多々ある。
しかし、後日に、譲る。

私は、これから、度々、インドネシアに行くことになる。
二万二千ほどの島々である。

死ぬまでに、すべての島には、行けないと、思う。




最後の沈黙を破る 48

テラの会として、活動している、中に、衣服支援をしている。
更に、その時々に、合わせて、食料支援なども・・・

東南アジアは、貧しい国が多い。
そこで、多くの、ボランティア団体、個人が、学校を建てる、施設を建てる・・・

建物を造るために、募金活動を始める者もいる。

私は言う。
九割は、嘘である。
いや、嘘になる。

建物を造るということは、そこで、継続的に、支援を続けるということになる。
それを、維持するために、大変な、困難が伴う。

ネグロス島の、トゥマゲッティという町で、農場を経営し、街中で、食堂を営む、ジョンソンさんという方と、話す機会があった。
私が、ストリートチルドレン三人に、ジョンソンさんの、店から、チキンと、ライスを買って、公園で、食べさせていた時である。

その中の、子供が、昨夜、店に盗みに入り・・・という、話から、はじまった。

私の行為は、傷口に、一時的に、バンソウコを貼るのに似るという。
その通りである。

だが、彼は、まず、私の行為に、敬意を表した。
ありがとう

そして、彼は、話し始めた。

食料、衣服を渡すと、次に、彼らの住む場所を造ることになる。
そして、教育の必要性。
彼らは、大人になっても、働くことが出来ないという、実に、厳しい現実がある。

親がいても、貧しいあまり、子供に暴力をふるい、子供が、ストリートに住むようにもなるという。

だが、建物を造り、大きな、意思で、フィリピンのストリートチルドレンに対する、環境を整える人たちの、大半が、途中挫折してしまうと、いう。

何故か。
続かないのである。

財力も尽き、更に、支援も、長くなると、減る。
志は、いいのだが、継続することが、如何に、難しいことかと、いう。
しかし、それを、やらなければ、フィリピンは、救われない、という。

そして、私に、出来れば、そういう施設、学校に、支援をして欲しいという。

私は、最初から、そのつもりだった。
建物を建てて、それを、維持するというのは、至難の業である。
今、現在、ある、団体や、学校、施設に、支援をすることの方が、現実的なのである。

建物を造るという、大志を掲げて、最初のうちは、燃えるが、それが、時間と共に、消えてしまう。
情熱も、消える。

嘘ではなかったが、続かないという、現実がある。

私は、どこの地域でも、まず、それらの団体、支援を求めている、施設、学校を、探す。そして、そこを、中心に、支援をする。

だが、まだまだ、そういう建物が、足りない国がある。
だから、私は、通りに出て、子供たちを、見つけて、衣服を手渡すのである。

更に、スラムに入り、人々に、手渡す。

ジャカルタには、世界最大の、スラム街がある。
とてもじゃないが、死ぬまでかかっても、支援しきれないほどの、広い地域である。

東南アジアの国々には、必ず、スラム街がある。
勿論、南アジアにも。

ラオスでは、少し田舎に出ると、学校はあるが、教師も、教科書も、ノートも無い。
無い無い尽くし、である。

建物は、あるが、これでは、どうしょうもない。

だから、私の基本は、ただ今、存在する、建物、団体、施設に、支援をするということ。それが、一番、現実的な方法である。

万が一、私が建物を建てるとするならば、全く、それらが無い場所だろう。
だが、私の死後の存続も、考えて、行わなければ、ならない。

建物を造るという、人たちの、話は、信じても、協力しないほうがいい。
途中挫折が、一番、悪い結果を生む。



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もののあわれ 478

姫君「いとうれしきことなれど、世に似ぬさまにて、なにかは。かうながらこそ朽ちも失せめとなむ思ひ侍る」とのみ宣へば、叔母「げにしかなむ思さるべけれど、いける身を捨てて、かくむくつけき住まひする類は侍らずやあらむ。大将殿の造り磨き給はむにこそは、ひきかへ玉のうてなにもなりかへらめとは、頼もしうは侍れど、ただ今は兵部卿の宮の御むすめよりほかに心分け給ふかたもなかなり。むかしよりすきずきしき御心にて、なほざりに通ひ給ひけるところどころ、みな思し離れにたなり。まして、かうものはかなきさまにて藪原に過ぐし給へる人をば、心きよく我を頼み給へる有様とたづね聞え給ふ事、いと難くなむあるべき」など言ひ知らするを、げにと思すもいと悲しくて、つくづくと泣き給ふ。





姫は、大変嬉しいことですが、変わり者の私ですから、別になんとも思いません。このまま、埋もれて、朽ちてしまったほうが、よいと存じますと、言う。
叔母は、そのように、思われるのも、解りますが、生きながら、埋もれて、こんな気味の悪い所に、お住まいになる人などいません。大将殿が、お手入れでもされれば、この邸も、打って変わって、玉の台にも変わることと、頼もしいことですが、ただ今は、兵部卿の宮の姫君よりほかに、お心を分ける方はいないでしょう。昔から、浮気っぽい心で、一時の、慰みに通われた方たちとも、すっかりと離れてしまったそうです。まして、こんな哀れな様子で、藪の中に住んでいる人を、純粋に自分を頼っていたことと、訪ねてくることは、ありそうもないこと、などと、知らせると、本当にそうだと、思い、悲しくて、しみじみと、泣くのである。





されど動くべうもあらねば、よろづに言ひわづわひ暮らして、叔母「さらば侍従をだに」と、日の暮るるままに急げば、心あわただしくて、泣く泣く侍従「さらばまづ今日は、かうせめ給ふ送りばかりに参うで侍らむ。かの聞え給ふことわりなり。また思しわづらふもさる事に侍れば、中に見給ふるも心苦しくなむ」と忍びて聞ゆ。



されど、姫の決心は、揺ぎ無いのであり、ほとほともてあまして、それでは、侍従だけでも、と、日が暮れるままに、急ぎ立てる。
侍従は、気ぜわしく、泣く泣く、では、ともかく、今日は、これほど仰る方の、お見送りだけに、行ってまいります。叔母様が、申されることも、もっともな事です。でも、姫様も、迷われるのも、当然でございます。中に立って、拝しておりますのが辛く思われます、と、密かに申し上げる。




この人さへうち捨ててむとするを、恨めしうもあはれにも思せど、言ひ止むべきかたもなくて、いとど音をのみたけきことにてものし給ふ。




この人まで、自分を見捨てて、行こうとするのを、恨めしく、あはれにも思い、引き止めるすべもなく、ますます、声を上げて、泣くので、精一杯である。

あはれにも思せど
この場合は、悲しいのである。切ない、とも、言える。




かたみに添へ給ふべき身なれ衣も、しほなれたれば、年経ぬるしるし見せ給ふべきものなくて、わが御髪の落ちたりけるを取り集めてかづらにし給へるが、九尺よばかりにて、いと清らなるを、をかしげなる箱に入れて、昔の薫衣香のいとかうばしき、一壺具して賜ふ。




記念にと、与える普段着も、垢じみているので、長年の苦労に対する、慰労の心を示すものもなく、自分の御髪の落ちたものを集めて、鬘、かずら、にしたが、九尺余りある、見事なものを、結構な箱に入れて、昔の、くんのえこう、の、たいそう香りの高いものを、一壺添えて、差し上げる。





たゆまじき 筋を頼みし 玉かづら 思ひのほかに かけ離れぬる

故ままの、宣ひ置きし事もありしかば、かひなき身なりとも、見果ててむとこそ思ひつれ。うちすてらるるもことわりなれど、誰に見ゆづりてか、と恨めしうなむ」とて、いみじう泣い給ふ。





永久に、離れないと頼っていた、あなたも、思いがけず、遠くへ行ってしまうのです。

亡くなった、乳母が、言い残したこともあるから、不甲斐ない私なのだが、最後まで、世話をしてくれると、思っていました。捨てられるのも、当然ですが、誰に、後のことを、頼むのかと、それが、恨めしいと、激しく泣く。




この人もものも聞えやらず、侍従「ままの遺言はさらにも聞えさせず。年頃の忍び難き世の憂さを過ぐし侍りつるに、かく覚えぬ道にいざなはれて、はるかにまかりあくがるるごと」とて、

侍従
玉かづら 絶えてもやまじ 行く道の たむけの神も かけてちかはむ

命こそ知り侍らぬ」など言ふに、叔母「いづら。暗うなりぬ」と、つぶやかれて、心も空にて引き出づれば、かへり見のみみせられける。



侍従は、何もいえない。
侍従は、母の遺言のことは、申し上げるまでもありません。長年の、我慢できかねる、世を過ごしてきました。このように、思いがけない、旅に誘われて、遠い所に行きますとは、と言い、

侍従
お別れいたしましても、お見捨てしません。行く先々の、道祖神にも、堅くお誓いいたします。

ただ、命は、あてになりません、などと、言うのである。
叔母は、さあ早く、暗くなってしまった、と、ぶつぶつ言う。夢中で車に乗り、邸を出て、後ろばかりを、振り返るのである。




年頃わびつつも行き離れざりつる人の、かく別れぬる事を、いと心細う思すに、世に用いらるまじきおいびとさへ、「いでや、ことわりぞ。いかでか立ち止まり給はむ。われらもえこそ念じはつまじけれ」とおのが身身につけたるたよりども思ひ出でて、とまるまじう思へるを、人わろく聞きおはす。




長年、辛い思いをしながらも、お傍を離れなかった人が、このように、別れてしまったことを、姫は、大変、心細く思っていた。もう、使い道のなくなった、年寄りの、女房たちまでが、そりゃあ、当たり前です。どうして、こんな所に、残りましようか。私たちでも、我慢できそうにありません。と、おのおの、自分たちの縁故を、記憶の底から思い出して、出て行きたがるのを、姫君は、外聞悪く思いつつ、聞いている。



posted by 天山 at 00:00| もののあわれ第10弾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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