2008年08月30日

性について 30

それでは、男と、女のルーツを、探る。

男が運ぶY染色体である。
一度に、数億個放出される、精子のうちの、半数には、Y染色体の写本が含まれる。
その精子が、卵子に飛び込んで、その受精卵は、男としての、発生の道を歩む。

そして、男は、成熟し、Y染色体の写本を、繰り返して、作り続けるのである。

Y染色体の、複製は、厳密に行われる。

だが、ごく稀に、異同が生じて、その校正の目を、すり抜けるものもある。
生じた異同、多型性は、Y染色体の、刻印として、父から息子に引き継がれる。

現在存在する、Y染色体の多型性の由来を、辿ると、男の系列と、その移動を再現するこが、出来るという。

写本に生じる多型性の出現頻度から、それがどの程度のタイムスパンで起こったことなのかを計算することができるようにもなった。つまり何千年あるいは何万年前にその写本の分岐が成立したのか、誤差を含むものの、おおよその推計が可能となった。
福岡伸一 できそこないの男たち

さて、女たちの方はというと、卵子から卵子に、母系でのみ、受継がれるミトコンドリアDNAの刻印を解析することで、得ることができるという。

ミトコンドリアDNAの分析は、80年代に、解った。
現在の世界にいる女性の、ルーツが、十数万年前の、アフリカで生まれた一人の女性であることが、解ったのである。

そして、Y染色体の多型分析も、解った。
世界に生存する、男性のルーツが、十数万年前の、アフリカで生まれた、一人の男性に由来すると。

だが、両者の関係性については、何も決定的なことを、示していない。
つまり、その男女が、人類の親であるというような、ことである。

女性の、ミトコンドリアと、男性のY染色体は、複数のパターンがあったはずであるが、その後、ほとんどの系譜は、途絶えた。現存していないのである。

女性の集団から、一つ、男性の集団から、一つと、ある系統だけが、生き残ったのである。

人類の、最初の集団は、家族、親族を中心とした、限られた、コロニーだったといわれる。
規模は、数十人程度。
環境に適応して、徐々に、人口を増やしていった。
それが、アフリカ人たちである。

そして、いよいよ、彼らの子孫が、世界に広がるのである。

遺伝子学から、人類の、発生を見ることで、それが、確実に解るようになった。

ここでは、専門的な、用語を使用しないで、その流れだけを、書くことにする。

一つの集団は、アラビア半島を経て、インドに到達した。しかし、定住は、しなかった。
その後、インドネシア、パプアニューギニア、オセアニアに、展開する。

更に、その集団から、分派して、インドシナ半島から、アジア大陸を北上し、バイカル湖付近に、達する。現在の、シベリア、東北アジア、トゥングース、モンゴルである。

それから、中央、東、東南アジアにも、広がる。
約2万8000年前のことと、推測される。
旧石器時代といわれる、時代区分になる。

シベリアに達した一部が、サハリン、カムチャッカ半島を経て、日本列島に入ってきた。

一方、朝鮮半島を経て入った者たちもいる。
旧石器時代、最も、早く、日本列島にやってきたといわれる。

また、その集団の一部は、ベーリング海峡を渡り、アラスカから、アメリカ大陸に達した。その人たちは、アメリカの原住民となる。

さて、もう一つの、集団である。
彼らは、アフリカに留まった者と、ヨーロッパ南部に向かい、定住した者たちがいる。

更に、一部の者たちは、立ち止まることをせず、東を目指した者たちがいる。
インドシナ半島に達した後、北上して、一部は、モンゴル、別の一部は、チベットへ、そして、最後の一部は、朝鮮半島から、日本の南部に到達した。
この、集団が、日本固有のタイプとされる。

この、タイプは、特に、アイヌ、東北、日本海、沖縄に多いといわれる。
彼らが、縄文時代の主要メンバーだと、言われている。


アフリカから、出た、三つの、集団のうちで、最後に分類される者たちは、世界に散らばり、最も多くの分派を生み出した。

それらは、主に、中東と、西アジアに展開する。

更に、東南アジア、中国に広がる。
そして、分派した者たちは、現在のヨーロッパ人となる。

アジアに展開した、男たちは、更に分派し、台湾、フィリピン、ジャワに住み着いた。
この遺伝子を持つ者は、朝鮮半島で多く、日本では、南琉球、八重山諸島に多い。
また、漢民族、チベット、満州、モンゴル、朝鮮と多い。
漢民族では、三分の二が、その遺伝子であるといわれる。

更に、その一部は、3300年前に、分岐し、移動を開始したのは、2800年前であり、渡来系弥生人として、日本列島に入ってきた。

遺伝子で、見る限り、日本は、人種の坩堝であるといえる。

この後、福岡伸一氏は、実に、面白い、議論を展開している。
次に、続ける。




posted by 天山 at 00:00| 性について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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