2008年06月29日

もののあわれ230

正月の三日、内裏より出でて、ふるさとの、ただしばしのほどに、こよのう塵積もり、荒れまさりたるを、言忌みもしあへず

あらためて 今日しもものの かなしきは 身のうさやまた さまかはりぬる

宮仕えに出て、一年か、二年目のことである。
ふるさと、とは、実家のこと。
ただしばしのほどに
少しばかり、留まっていた。
塵積もり、荒れまさりたるを
整理させていない様なのか。
お正月なのに、不吉な言葉を、慎むことなく。

新年になったとて、何やら、悲しい気持ちである。我が身の、嘆かわしさ、以前にも増して、深まるのである。

夫の死後の、宮仕えの、身の憂きことの、多いのを、嘆くのか。

今日しもものの かなしきは
正月に、相応しくない言葉である。

身の憂さやまた 様変わりぬる
身の上の様は、何も変わらない。益々、憂きことなのである。

物語を書いて、それが評価されているという、状況とは、思えない、紫の気持ちである。

寂しい生活なのか。
絢爛豪華な、物語を書いた人とは、思えないのである。
平安の、雅は、すべて、源氏物語にある。


五節のほど参らぬを、「くちをし」など、弁の宰相の君ののたまへるに

めづらしと 君し思はば きて見えむ 摺れる衣の ほど過ぎぬとも
めづらしと きみしおもはば きてみえむ すれるころもの ほどすぎぬとも

十一月の卯の日の、新嘗祭、しんじょうえ、前後四日間、五節の舞姫が奉仕する、公事である。
弁の宰相、とは、中宮上臈女房で、藤原道綱の女、豊子、大江清通の妻。

その祭事に、行かないことを、口惜しいと、言う、女房である。

摺り衣は、見慣れずに、新鮮な感じがすると、あなたが思うなら、摺り衣の時期が過ぎましても、それを着て、お目にかかりましょう。

返し

さらば君 山藍のころも 過ぎぬとも 恋しきほどに きても見えなむ

お返し

それならば、あなた、山藍の摺り衣の時期が、過ぎても、お逢いしたいと思いますので、それを、着せて見せてください。

この歌には、多くの解説がいる。
ころも、は、頃もと、掛けるとか、着ては、来てと、掛けるなど。
しかし、歌の意味さえ、理解すればいい。

何とも、優雅な、掛け合いの歌である。が、深読みすれば、何やら、皮肉めいた気分にもなる。
当時の様子を、知らなければ、よく解らない。


人のおこせたる

うちしのび 嘆きあかせば しののめの ほがらかにだに 夢を見ぬかな

訪れなかった夫の、言い訳による、歌のやり取りである。

お前に逢えず、昨夜は、人知れず、嘆き明かした。夢の中でも、逢うことができなかった。

七月ついたちごろ、あけぼのなりけり。返し

しののめの 空霧りわたり いつしかと 秋のけしきに 世はなりにけり

旧暦では、七月から、秋になる。

しののめ
夜明けの空は、一面、霧に包まれて、早くも秋になりました。私たちの仲も、飽きることになりました。

これは、秋と、飽きるを、掛けている。
世はなりにけり
世とは、二人の仲のことである。
二人の仲を、突き放して見つめている。

七日

おほかたの 思へばゆゆし 天の川 今日の逢ふ瀬は うらやまれけり

七月七日

一年に一度しか、逢えないという、七夕の夜は、いまわしい。お前に逢えぬ今日は、七夕の逢瀬が、うらやましい。

返し

天の川 逢ふ瀬を雲の よそに見て 絶えぬちぎりし 世々のあせずは

天の川の、逢瀬を、よそ事と、思い、今夜逢えずとも、二人の仲が、変わらないものだと、信じています。

絶えぬちぎりし 世々にあせずは
二人の仲が、絶えないこと。末永く、続きますように。

ここでは、心変わりを心配する様がある。
別の女の元に、行くのであろうか。
時は、通い婚の時代である。
その後も、待つ女の姿が、描かれるのは、この時代からの、名残だろうか。
しかし、今時、待つ女がいるだろうか。
そんなことなど、していないだろう。
男が、来なくても、女の方から、出掛けて行く。
それなら、それで、また、文化を、作ればいい。

今度は、待つ男の、文化である。

この世を、男と女の世の中だと、思う時代は終わった。
今では、ゲイ、レズも、当然ある。
少数派と言われても、その勢力は、今、まさに、席巻する。

また、性同一性障害という、病と認定されたものもある。
心が、男か女かの、時代である。

最早、何事かを、断定して、判断する時代ではない。これも、人類の進化であろう。
色々な、生き方がある。
その、色々な生き方を、受け入れることが出来る人が、新しい時代の人となる。

それもあり、これもあり、である。

見渡せば 人皆違う 顔ばかり 百人百様 それぞれでよし 天山




posted by 天山 at 00:00| もののあわれに第5弾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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